広陽サービス株式会社
営業本部 営業課 主任 浦田 康平様
営業本部 営業課 内田 亮様
1957年に創業し、東京都心部にアクセスしやすい好立地で、一般・産業廃棄物処理やリサイクルなどの事業を手がける広陽サービス。主な顧客は東京23区のオフィスビルやテナント事業を運営する事業者・官公庁のため、個別に必要な契約は膨大な件数に上ります。
紙の契約書も大量に保管しており、近年の物価上昇などを踏まえた料金改定による契約変更も頻繁に発生していました。そこで同社は、クラウドサインのセールスパートナーであるトライシクル株式会社からの紹介のもと、非効率な紙契約から脱して業務効率を高めるためにクラウドサインによる契約書の電子化を選択しました。
契約にかかる時間とコスト、更新時の確認作業に課題
以前の紙の契約書における課題と、電子契約サービス導入のきっかけを教えてください。
浦田様
当社は東京23区をメインに、オフィスビルや店舗などから出た可燃・不燃ゴミ、産業廃棄物などを回収・運搬し、処分する事業を行っています。そのための契約は、ゴミを排出する各事業者と個別に締結しています。
これまでは紙の契約書を使用してきましたが、印刷と製本の手間がかかっていただけでなく、郵送代や印紙代もかさんでいました。契約締結手続きにも、郵送でのやりとりにも時間がかかっており、どんなに早くても契約締結までに1週間は必要になるので、契約締結業務のスピード感が出ないのが大きな課題の1つでした。
また、すべて手作業なのでヒューマンエラーによるミスも発生しがちです。そうすると契約書の作り直しが必要になり、営業担当の業務効率も上がりませんでした。
内田様
契約書原本の保管・管理にも苦労していました。弊社では契約書専用の棚がひとつの部屋にずらっと並んでいて、その何百何千とある契約書の中から目的の書類を探し出すのも大変な手間がかかります。これらの紙の契約書を電子化すれば簡単に検索ができるだろうと考えたのも、電子契約サービス導入の大きなきっかけのひとつでした。
過去の契約書を確認する機会も多いのでしょうか。
内田様
契約は基本的に1年ごとの自動更新ですが、廃棄物処理法により、契約の有効期限後から5年間の保管が必要と定められています。営業として、過去を遡ってどんな契約をしていたかを聞かれる場面もあり、それに答えられないといけませんから、無効になった契約書でも処分できません。
また、処理費用の値上げをしなければいけないタイミングが1、2年に一度はあり、そこで過去の契約書の確認が必須になってきます。
浦田様
そんな風に値上げが発生するときは、関係するすべてのお客様と一斉に契約締結し直すことになります。過去の契約書もほとんど全部ひっくり返して確認することになりますから、それだけで何時間もかかってしまうような作業になり、負担も少なくありません。
電子契約を取りまとめる専任者を設けて運用開始、新規の電子契約率は8割に
クラウドサインの導入にあたって工夫したことはありますか。
浦田様
営業課内に電子契約の取りまとめを担当する専任者を設けたことです。当社では営業スタッフ各自がお客様との契約も含めて対応していますので、電子契約にも対応が必要となると、事前のトレーニングなど全員の負荷が大きくなってしまいます。そうならないように、クラウドサインの導入にあたっては専任を立てることにしました。
また、専任者が電子契約を取りまとめることで、契約書の文書名やタグを統一するなど、管理基準に一貫性をもたせやすくなるとも考えました。そうすれば電子化された過去の契約書を容易に検索できるようになるはずです。
クラウドサインを実際に使ってみて難しかったところなどはなかったでしょうか。
浦田様
操作は直感的で、最初からスムーズに使えたように思います。承認のフローについても、当社側とお客様側の担当者、あとは共有する他の人のメールアドレスを指定するだけでしたので分かりやすかったですね。最初にお客様に「基本的に電子契約で締結しています」とお伝えすれば、すんなりメールアドレスをご連絡いただけることが多いので、メールアドレスを収集するのもとくに難しくはありませんでした。
現在のクラウドサインの主な用途と、おおよその電子化率を教えてください。
浦田様
現在は、主に廃棄物の収集運搬および中間処理について、事業者様や自治体様との業務委託契約書と覚書でクラウドサインを使っています。既存の契約も含めた全体の契約件数で言えば電子化率は3割程度ですが、新規の契約に限れば8割の契約を電子化できています。件数で言うと、平均して毎月30件程度をクラウドサインで送信している状況です。
ここ最近はお客様にも電子契約が浸透して、スムーズに話が進むようになってきたと感じます。大企業のお客様や官公庁のお客様ですと「紙契約でお願いしたい」という場合がほとんどですが、中小企業のお客様の場合は電子契約への抵抗感は全くないですね。
年間数十万円のコスト削減、社員一人ひとりの契約への意識も高まる
導入の効果を実感できている点はありますか。
浦田様
効果のひとつとしては、電子化によって業務スタートまでの期間を短縮できたことです。お客様から廃棄物などの回収・運搬や処分のご依頼をいただいても、契約締結に時間がかかるとその分だけ廃棄物の収集開始が遅れてしまいます。
郵送費用や印紙代が省けるようになって、年間にすると数十万円程度のコスト削減にもつながっていますし、今後は事務所内の保管スペースが節約できるようになるのもありがたいですね。
内田様
クラウドサインでは、今まで少なくとも1週間はかかっていた契約締結が、たった1日で完了できるのが大きなメリットだと感じています。
事業者様のなかには紙の書類手続きを面倒に感じて忌避感をもっている方もいらっしゃいますので、そういうときには「メールひとつで承認していただければ大丈夫です」とを説明すると、あっさり対応いただけます。なので、電子契約は営業面でアピールできるポイントにもなっているように思いますね。
紙の契約書のときは、送付してもなかなか返送されないことがありました。クラウドサインでは、送付後に電話なりメールなりでお客様に一声かけるだけで、円滑に手続きが進みます。
浦田様
産廃業においては、競争見積の案件で電子契約の利用が必須条件になっている場合もありますので、そういったときにチャンスを取りこぼすことがないという利点もあります。
また、営業スタッフ一人ひとりの契約に対する意識が高まって、トラブルのないように、確実に契約を締結しよう、という動きになってきているのも1つの効果かもしれません。
電子契約をおひとりの専任で取りまとめているとのことですが、負担は大きくありませんか。
浦田様
今の状態でもし100%電子契約になったとしても、契約締結済みのお客様との契約更新が多くを占めるため、おそらくひとりで対応できるだろうと考えています。
中長期的には、現在Salesforceを利用した新しい社内システムを構築しているところで、社内システムとクラウドサインをAPI連携することで自動化部分を拡大する予定です。そうすれば営業スタッフ各自がSalesforceから直接契約書を送信できるようにもなりますので、さらに件数が増えたとしても問題なく処理できるように思います。
先ほども申し上げましたが、会社としてはどんどん電子化を進めていこうという流れになっていまして、営業課内では電子契約の利用件数を毎月報告するようにもしています。具体的な目標件数などを設定しているわけではありませんが、営業一人ひとりが意識的に電子化を推進していけるような体制を敷いています。
まずは小規模の契約から電子化を進めるのがおすすめ
最後に、電子契約サービスの導入を検討している他の企業に向けてメッセージをお願いします。
浦田様
はじめのうちは、紙書類から変わることに不安があるかもしれませんが、電子契約を導入することで得られる業務効率化やコスト削減のメリットは計り知れません。まずは丁寧にお客様に説明して、小規模な契約から始めていけば、紙契約から比較的スムーズに電子契約へと移行できるのではないでしょうか。
産廃業界全体としても、契約に限らずとにかく電子化を進めていこうという方向で動いていっていることは確かだと思います。業界組合や団体を通じて、事業者の皆さんの協力のもと電子化に取り組んでいくことで、電子契約のメリットを享受できれば、電子化の波もより広がっていくのではないでしょうか。
※掲載内容は取材当時のものです。