BXゆとりフォーム株式会社
営業企画部 担当部長 北見啓輔様
営業企画部 1課長 上野信一様
総務部 係長 髙杉実様
ガレージやシャッターなどの総合建材メーカーとして知られる文化シヤッター株式会社のグループ企業として、住宅のリフォームをメインに手がけるBXゆとりフォーム。首都圏を中心に12拠点を展開し、専任の営業担当者が顧客に寄り添って、住宅や生活スタイルにマッチしたリフォーム提案をしています。
ただ、紙書類が多く保管場所のコストがかさんでおり、首都圏のみとはいえ営業担当者1人が広い地域をカバーするため、現地で契約締結するのにも客先までの長い移動時間がかかるという課題がありました。紙書類や移動を減らし、無駄なコストの削減も図るため、同社はクラウドサインを導入。リフォーム工事費用のクレジットカード決済にも対応することで、電子化率の拡大にも成功しました。
書類保管や営業の移動時間・コストが課題に
電子契約サービスの導入前はどんな課題を抱えていたのか、教えてください。
髙杉様
リフォームという事業では注文書や図面など使用する紙書類が多く、それらを保管するための倉庫費用がかさんでいたのが課題のひとつでした。契約書には収入印紙も必要になりますし、契約締結のためにお客様のご自宅へ書類を持って行くのにかかる移動の時間と費用も小さくありません。
また、紙書類を整理して保管しているつもりでも、正確に分類しきれていない場合もあります。後から参照しようとしたときに探し出す手間が余計にかかっていたのも課題でした。
当時はコロナ禍で、対面を避けたいお客様が多くいらっしゃったことも電子化を進めた理由のひとつです。リフォーム前の現地調査や実際の工事は対面になってしまいますが、契約だけでも非対面にできればと思い、当時CMも流れていてよく知っていたクラウドサインを選びました。
クラウドサインを選んだ決め手は何でしたか。
高杉様
「導入支援コンサルティング」によるサポートが大きかったですね。担当者にコンサルテーションをしていただき、導入から運用開始と、その後の活用に至るまでお付き合いいただけるところに安心感がありました。
他社サービスのなかには導入時の設定などをある程度手伝ってもらえるところもありましたが、たとえば現状の業務フローを把握したうえで、導入後にどこをどう改善していくかなど、深く細かい部分までサポートしてくれるところはほとんどありませんでした。
独自Webフォームで建設業法に対応、しかし当初は電子化が進まず
現在はどういった書類でクラウドサインを利用していますか。
上野様
リフォームの具体的なプランやお見積りが決まった後の、契約時に締結するリフォーム工事請負契約書と、工事が完了した後の報告書として作成する完工書や保証書などの送信に利用しています。
お客様からご相談いただいた段階でお見積書をクラウドサインで送信することも可能ですが、最初はなるべくお客様のところにお伺いしています。電子契約には事前に本人確認と承諾が必要ですし、ご満足いただけるリフォームにするためにも現地を確認したうえでカタログや提案書などを使ってしっかり説明させていただきたいからです。
運用上工夫されていることがありましたら教えてください。
上野様
当社が独自に作成したアプリとWebフォームで、建設業法で定められている相互の合意や本人確認など、電子契約に必要な手続きができるようにしています。営業担当者のスマートフォンにインストールしているので、本人確認のためにお客様のところへ伺ったときに、お客様がそれを使って手続きする形です。これによって契約前段階の紙書類への記入や郵送も不要にしています。
社内浸透を図っていくところで難しかったこと、苦労したことはありますか。
髙杉様
導入直後は全然利用してくれませんでした(笑)。営業担当者の電子契約に対する関心が低かったためか、最初は1か月間に1、2人、その後は少しずつ増えましたが半年かかっても10~20人でした。
全社的に紙文化は根強いものがありましたし、新しいものについて苦手意識を感じやすい社員も少なくなかったと思います。そういう苦手意識を飛び越えて「まずは触ってもらう」ところへ至るのに高いハードルがあったように思います。
上野様
そのような状況でしたが、最初に若い社員が真っ先に触れて使えるようになって、その人たちから他のメンバーにレクチャーするというような流れを作っていくことができました。一度使い始めてしまえば難しいものではないので、徐々に利用者が増えていきましたね。
クレジットカード決済対応が電子契約の活用浸透のきっかけに
なかなか利用者が増えなかったとのことですが、現在の送信件数は月あたり数百件もあります。活用浸透のきっかけは何だったのでしょう。
髙杉様
お客様側の支払い方法の選択肢として、クレジットカード決済に対応したことがターニングポイントになりました。それまでは銀行振込のみ受け付けていましたが、クラウドサインによる電子契約の場合には「クラウドサイン ペイメント」でクレジットカード決済にも対応できるということで、導入してみました。
リフォームの支払いにクレジットカードを使いたいというお客様からの声は以前から多くありました。後払いですし、カード会社ごとのポイントが貯まるのも大きいのだと思います。そうやって1件、2件と電子契約をこなしているうちに営業担当者も慣れてきたのか、銀行振込の場合でも電子契約を利用するパターンが増え、社内でも電子契約の送信件数が伸びていきました。
現在の電子化率と、導入の効果について教えてください。
髙杉様
全体の電子化率は20%程度ですが、それでも1か月に数百件はクラウドサインを送信しています。特に営業担当者がクルマで移動する時間や、ガソリン代、駐車場代については、契約1件あたりで見ても着実に削減できていますので、コスト削減の効果は間違いなくあります。収入印紙代を省けるのも大きいですね。
上野様
拠点によっては電子化率が50%近くに達しているところもあります。この拠点にはトップセールスマンが在籍しておりとにかく契約件数が多く、契約業務を効率化できるクラウドサインが必要不可欠と感じているのだと思います。
その影響が周りの社員にも波及してクラウドサインを使うようになるなど、一段といい効果が現れているように思います。
特に、トップセールスマンにはリピートのお客様も多くいるのですが、リピートの場合、ご依頼内容によっては現地調査や事前の打ち合わせなどの訪問が不要な場合もあります。そうなると、契約書類のためだけにわざわざ日程を調整してお伺いするか、郵送で書類のやり取りをすることになりますので、電子契約のほうが双方にとって効率的でよいということにもなります。
「導入支援コンサルティング」もご利用いただきました。
髙杉様
こういった新しい仕組みの導入を自社だけで進めようとするときは、どうしても社内のメンバー同士で目線が近くなって客観的に改善すべき点などに気付けなくなりがちですし、進みも遅くなってしまいます。
そこを弁護士ドットコムという外部のプロフェッショナルの目で見てもらうことで、導入にあたって業務の変えるべき部分なども鋭くご指摘いただけました。不安なところはすぐに相談でき、発破をかけてもらうような感じで背中を押していただいたところもあって、短期間に熱が冷めないうちにスタートにこぎつける、という意味でも心強いサービスだったと思います。
リフォーム業界において電子契約導入を成功させるポイントはどんなところにあるとお考えですか。
髙杉様
私が導入準備を進めていくなかでネックに感じたのは、建設業法における相互の合意と本人確認でした。そこをどうクリアしていくかがポイントになってくると思います。
当社の場合は独自のWebフォームにお客様が入力して提出していただく形にしましたが、そういったどの会社でも簡単に利用できるような仕組みがあれば、もっと電子契約を導入しやすくなるのではないでしょうか。
信頼関係のある既存のお客様から電子契約を活用してみてほしい
今後のクラウドサインの活用方針についてお聞かせください。
髙杉様
もちろん電子契約がメインの契約形態になるように進めていきたいと考えています。あとは施工管理と顧客管理に別のクラウドサービスを利用していますので、そことクラウドサインとの連携も進めたいですね。
今はトライアルの段階ですが、連携が実現すればより少ない手間で契約書を作れるようになります。使い勝手が改善することでクラウドサインを積極的に利用しようと考える社員もさらに増えるものと考えています。
北見様
当社の強みは、お客様1人1人に専任の担当者がついて、気持ちに寄り添って最適なリフォームをご提案できる、という点にあると考えています。おかげさまで顧客満足度について高く評価していただいていますが、クラウドサインの活用をさらに進めて効率化することで、ますます満足いただけるような提案にしていきたいですね。
最後に、リフォーム業界の他の企業に向けてメッセージをいただければ。
上野様
電子契約の社内普及には、まず営業スタッフが電子契約に慣れてもらうことが不可欠です。そのために当社では、新規のお客様ではなく、すでに信頼関係が構築できているリピートのお客様との間で電子契約を活用するところから始めました。入り口のハードルを下げて、はじめやすいところからまず数件ずつ試してみる、という方法がおすすめです。
そうやって慣れていけば、当社のトップセールスマンが一番使っているとお話ししたように、電子契約を活用するメリットを自然と理解して広がっていくと思います。
髙杉様
当社では社内的にも、アナログな業務の電子化を推進する社員を評価する仕組みにしています。それによって本人のモチベーションが高まりますし、結果的に会社全体の電子化推進を図って、業務効率や生産性のアップにつなげられるのではないでしょうか。
※掲載内容は取材当時のものです。