株式会社3eee
戸澤拓哉様
札幌市に本部を置き、直営だけでも全国に30を超える介護・福祉施設を展開する北海道のベンチャー企業3eee(スリー)。通所介護事業から始まり、居宅介護支援事業、就労継続支援事業、障がい児通所支援事業へと、地域ごとのニーズに合わせて業務を広げてきました。
しかし事業と拠点の急速な拡大に伴い、施設利用者1人1人との契約締結業務が課題に。大量の紙書類の製本作業が必要なうえ、利用者側も契約書類に何度も手書きでサインしなければなりませんでした。また、2024年には3年に一度の介護報酬改定も予定されています。日常的な負担の軽減を狙うとともに、今後予想される事務作業の増大にも対応するべく、同社はタブレットによる対面契約ができ、機能カスタマイズも可能な「クラウドサイン for 介護DX」を導入しました。
製本や手書きの手間を「クラウドサイン for 介護DX」で削減へ
電子契約サービスの導入を検討することになったきっかけを教えてください。
戸澤様
当社では施設を利用される方およびそのご家族様と「契約書」「重要事項説明書」「個人情報同意書」の3種類の書類をやり取りします。これらを互いに控えておかなければなりませんから、2セットで計6部の紙の書類が発生します。その製本に時間がかかっていたこと、全国の施設職員が個別に作成していて仕上がりに差があり、場合によっては必要事項の記載漏れや押印し忘れが発生していたことから、そうした問題を解決できないかという思いがありました。
また、既存の施設では契約件数は1か月にせいぜい3、4件ですが、新規オープンする施設では一度に50名ほどと契約することがあり膨大な作業になります。職員総出で製本したこともあるほどで、本当に大変でした。
一方、施設利用者様には6部の書類すべてに氏名と住所を手書きしていただかなければなりませんでした。利用者様の多くが高齢の方ですので、手がうまく動かない方、握力が弱くなっている方もいらっしゃいます。手書きの負担を強いることに申し訳ない気持ちもありましたので、電子化することでその負担を軽減できればとも思っていました。
「クラウドサイン for 介護DX」を選択していただきましたが、導入までにはどのような経緯があったのでしょうか。
当社では通常のクラウドサインを企業間の契約で以前から利用していましたので、使い勝手についてはすでに把握していました。BCP(事業継続計画)対策の意味でも電子化は重要で、クラウド上にデータ保管すれば、契約書を地震や水害、火災等で破損・消失してしまうこともありません。
そんななか、令和3年度の介護報酬改定では利用者様との契約も電子化することが可能になりました。その法改正に則ってタブレット端末で対面契約ができ、機能のカスタマイズ対応もしてもらえる介護・福祉業界向けのクラウドサインが提供開始された、ということでしたので、導入を決めました。
本部と現場の閲覧権限を変えるカスタマイズで管理性を向上
導入や運用をしていくにあたり、工夫したことはありますか。
1つは「クラウドサイン for 介護DX」ならではの機能カスタマイズとして、我々本部側と各施設の現場とで契約書の権限を分けるようにしてもらったことです。本部側で作成した書類は現場側で削除できないようにしたり、閲覧できる範囲を限定したりできますから、本部と現場それぞれの業務に集中できます。
もう1つは当社独自にマニュアルを作成して、各施設の現場に展開したことです。現場の職員も若者ばかりではありません。20代もいれば、60代の方もいます。高齢の職員だとすぐにはタブレットを使いこなせない場合もあり、手順を1つ1つ説明するマニュアルを渡して理解してもらうようにしました。
最初に練習用のテスト環境も用意してもらい、そこで繰り返し練習できたおかげで、本番環境でもスムーズに使い始められたように思います。
作業負荷、契約時間、手書き、保管の課題を一気に解決
導入後の効果として実感していることがありましたら教えてください。
まず契約書の製本の手間がなくなったことですね。導入後に新施設がオープンしたときには一度に30~40名の方と契約が必要になりましたが、製本作業が不要になったので作業負荷が格段に減りました。紙の発注量が少なくなって、コスト減にもつながっています。
当日の契約締結にかかる時間も短縮されました。これまでは職員が紙書類を持って施設利用者様を訪問し、6部すべてに氏名と住所を記入していただくのを待たなければならず、時間がかかっていました。
しかし、クラウドサインでは事前に当社側で利用者様の住所を入力しておけますから、お客様にはご署名いただくだけで済みます。署名も、一か所ご記入いただければ、あとはクラウドサイン側の機能により他の箇所にも自動で紐づけを行ってくれますので、お客様は「お名前を一筆書くだけ」で済みます。その結果、60分以上かかっていたご利用者様との打ち合わせ時間が30〜40分と約半分に短縮できました。何度も住所と名前を書く手間が省けるのは、お客様と当社の双方に対してメリットがあります。
本部側で契約書の内容をリモートから確認できるようになったのも大きなメリットです。契約を担当している各施設と札幌にある本部とは離れていますから、紙書類での契約直後にその内容を確認するには本部から現地に出向かなければなりません。その点クラウドサインなら締結した契約内容をすぐにWeb上で閲覧できるので出張による移動の手間を省けますし、安心感もあります。
その他には、保管場所の悩みも解決できそうです。契約書は少なくとも10年間保管しますので増え続ける一方でした。そのために倉庫を借りているのですが、今後はクラウド上に保管されるので、これ以上倉庫スペースを増やす必要もなくなります。
施設利用者やご家族の方からタブレットでサインすることについて感想などは届いていますか。
住所がすでに記入された状態で、それを確認して名前を一度書くだけで完了するというのは、やはり利用者様にとっては嬉しいようです。紙の書類を手元に保管しておかなくて済むのがありがたい、とおっしゃる方もいらっしゃいます。
ただ、タブレットの画面は私たちからすれば大きいものですが、利用者様にとってはそれでも小さく感じられて、ペンでガラス面に書くときのつるつるした感触にも戸惑いがあるようです。そのため指先で名前を書いていただくこともありますね。
2024年介護報酬改定を受けて増大が予想される事務作業も楽に
今後のクラウドサインの運用や活用の方針についてお聞かせください。
今回の「クラウドサイン for 介護DX」の導入で、当社の大部分の業務を電子化できました。他に考えられる用途としては、たとえばインフルエンザの予防接種のために遠方にお住まいのご家族様の許可を得るなど、施設入居時以外のところで同意書や覚書を交わすタイミングでしょうか。
また、2024年4月には診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の改定が行われます。いわゆる医療・介護・障害のトリプル改定で、現在契約している利用者様との同意書のやり取りが改めて必要になります。当然ながら大量の契約や事務作業が発生しますので、そこでもクラウドサインが間違いなく作業負担軽減に貢献することと思います。
最後に「クラウドサイン for 介護DX」の導入を検討している方に向けてメッセージをいただけましたら。
電子契約サービスを使ってみるまで、我々も難しそうだな、複雑そうだなと思っていたのですが、実際に導入してみるとシンプルで、事務作業が明らかに軽減されました。特に我々のように複数拠点をもつ事業者だと、電子化することで省ける業務が多く、移動や確認にかかる負担も減るので大きな効果が得られるはずです。
先ほどお話しした通り、2024年4月にはトリプル改定があり、契約はもちろんそれ以外のところでも事務作業が増えます。どの事業者様も大変忙しくなると思いますので、今のうちにクラウドサインを導入して、契約業務だけでも楽にこなせるように準備してみてはいかがでしょうか。
※掲載内容は取材当時のものです。