セガサミーホールディングス株式会社
総務サービス部 ビジネスサポート課
増田晃様
家庭用ゲーム機の黎明期から多くのファンの心をつかんできたゲームメーカーのセガと、先進的な遊び方で業界を牽引する遊技機を数多く発売してきた遊技機メーカーのサミーが2004年に経営統合して誕生したセガサミーホールディングス株式会社様。2018年には都内に点在するグループ会社の拠点の大半を1箇所に集約し、さらなるシナジーを発揮するべくDXを推進していくなかで、契約の電子化も進めました。
連結の従業員は数千名規模。経営統合以前は全くの別会社で、契約業務においても各社各様のルールがあり、DXに向け統一的なシステムに移行するのは一筋縄ではいかなかったとのこと。しかし現在では、新規契約の電子化率が6割に到達しています。全社にクラウドサインを浸透させていくにあたり同社がどのような活動をしていったのか、導入に際しての苦労や、電子化による効果なども含め話を伺いました。
グループ統合やコロナ禍の出社制限など事業環境に左右されることなく業務を遂行するべく電子化へ
電子契約サービスの導入を検討することになった経緯を教えてください。
増田様
当社ではグループシナジーの発揮を目指し、2018年に拠点の集約を実施しました。ここが大きなスタートポイントとなり、2020年には会社のミッションとしてDX推進が本格化したことで、私の所属する総務部門が電子契約を推進することとなり、2020年10月にクラウドサインの導入に至りました。
われわれ総務部門が捺印対応するグループ全体の契約締結数は月間1,000件を超えています。新型コロナウイルスの流行下でも事業活動を止めることは許されませんから、環境に左右されることなく契約締結できるように、紙の契約から電子契約へ移行することを考えた、というのも理由になります。
以前の紙を使った契約業務で課題に感じていたところはありますか。
増田様
先ほども申し上げた通り、月に1000件を超える捺印申請が起案されて来ますが、間接部門ということもあり、少ないメンバーでこの多量の申請を受付しておりました。総務メンバーが申請内容の確認から契約書の印刷、捺印までの業務を対応しており、繁忙期などは残業を余儀なくされることもありました。
また、双務契約の場合は原本保管義務がありますが、この保管業務もわれわれ総務部門が担当しておりますので、繁忙期は業務負担が膨大になり、業務効率化が課題でした。
数ある電子契約サービスのなかからクラウドサインを選んだ決め手はどこにありましたか。
増田様
まず第一にクラウドサインは国内で認知度の高いサービス会社であること、そして、サポート体制で高い評価を得ていることが決め手でした。
初めて電子契約サービスを利用するにあたり、導入から運用まで一貫したサポートをしていただくことで、安定的に運用することができればと考えておりました。弁護士ドットコムの担当の方には非常に丁寧にサポートしていただいており、電子化の推進に関してアドバイザーとして相談することもたびたびありました。課題が生じたときには都度 適切な手法を教えていただき、円滑な導入が図れたと思っております。
また、当社グループは海外事業も活発ですから、海外ベンダーの電子契約サービスの導入もあわせて検討しましたが、費用対効果を勘案して、総合的にクラウドサイン1本でいくのが最も合理的だと判断した、という背景もあります。
日々の草の根的な活動で社内の理解と浸透を図る
クラウドサインの導入を決定後、社内への周知はどのように行っていきましたか。
増田様
紙に慣れていたこともあり、捺印が不要な電子契約に対して漠然とした不安を抱える従業員も多く、その不安を払拭することが電子契約を浸透させる初めの一歩だと考えました。そこで、社内外向けに詳細なマニュアルを整備するとともに、電子契約に関する社内説明会を通じて、捺印に代わる電子署名の仕組みやシステムの使い方、それと「ハンコがない契約でも成立するのか」といった法律の基本的な説明をするなどして、従業員が安心してクラウドサインを利用してもらえるような活動をしていきました。
グループ各社でDXに関わる文化は異なっていたのではないかと思いますが、システムを統合し、電子契約を導入していくところで混乱などはありませんでしたか。
増田様
もちろん簡単にはいきませんでしたね。一方はゲーム、もう一方は遊技機という世界で、同じエンタテインメント系ではあるものの、業界が違うと取引先様との関係性も異なります。それは契約書の内容にも関わってきますし、契約のスピード感が変わってくることもあって、どのように統一していくかは非常に難しい舵取りでした。
それに、とにかくグループには多くの従業員がいます。その1人1人が捺印申請したり、契約書を相手に送ったりしているので、全員に電子契約の仕組みなどを説明し、周知していくのは大変でした。
そんななかでどのようにして社内普及を図っていったのでしょうか。
増田様
ただ利用を強制するだけでは正しく普及しませんから、草の根的に部門ごとにクラウドサインのメリットを直接説明して理解してもらう、といった活動を毎日のようにやっていました。紙の契約書が回ってきたときは、電子化できる内容なら申請者と相談して改めて調整したりもしました。すべての部門の申請者に浸透させるのには、やはり時間がかかりますし、今でもその途中です。
しかしそれでも、普及が急速に拡大することになったきっかけもありました。2021年の夏、管理職に対して新株予約権を付与したときのことです。対象がグループ会社の管理職ということもあり、多人数を対象者とした契約でしたが、新株予約権発行にともなう書類の締結をトライアル的にクラウドサインで一括送信することにしました。グループ会社の管理職が一堂にクラウドサインを利用する機会につながり、それまで電子契約についてあまり理解が進んでいなかった管理職の人たちも、実際に使ってみることでクラウドサインが便利なツールであることに気付いてくれました。このトライアルが結果的にクラウドサインの社内利用の促進につながりました。一度実際に利用してみて、便利さを体感してもらうということはとても重要だと思います。百聞は一見に如かずですね。
ワークフローシステムとのAPI連携で送信やファイル保存を自動化、電子化率は6割に
現在は主にどの用途でクラウドサインを活用されていますか。
増田様
営業部門からイベントを企画する部門まで、多くの部門において、日常的に発注書と業務委託契約書を利用しています。特にゲームを開発する事業部門では外部のクリエイターに業務委託するケースが多くあります。
クラウドサインは社内でどのような流れで利用する仕組みになっているのでしょう。
増田様
クラウドサインのAPI連携によって、社内の捺印申請ワークフローシステムのなかですべての処理ができるようにしています。作成した契約書PDFをアップロードし、ワークフローシステムで申請、それが社内で承認されれば、API連携で契約相手に自動で送信される仕組みを構築しました。ワークフローシステムで進捗状況を確認したり、締結を促すためのリマインドメールの送信指示を出すこともできるようになっています。相手側で契約に同意し、締結が完了したときは、契約書がワークフローシステムに自動保管されるようにもしました。
また、社内ワークフローシステムと連携することで、申請者がクラウドサインにログインすることなく、ワークフローシステム上で契約書の締結までのステータスを確認することができます。今までの紙の契約書のように、相手先に捺印あるいは書類の発送状況の確認をする手間がなくなりました。申請者の使いやすさを一番に考え社内のワークフローシステム上だけで作業が完了するように、ということを意識しましたね。
導入の効果はいかがでしょうか。
増田様
社内の利用者からは、特に契約締結に至るまでのスピードの早さについて評価の声が上がっています。郵送の手間がかからなくなりましたし、契約相手が承認した瞬間に契約書ファイルが社内システムにアップロードされるので、紙の契約書の確認・保管作業もなくなって、総務部門の業務負担も軽減しています。
電子契約の件数などについては、グループ会社ごとに週次で集計を行い、月ごとにまとめて部内にて報告しております。定期的に集計・分析し、その情報にもとづいて利用促進を常に図っていく社内体制を作っています。
雇用契約にも活用を広げ、より一層の電子化を目指す
今後、クラウドサインの活用はどのように広げていきたいとお考えですか。
増田様
雇用契約がまだ一部で紙を使っているので、電子化したいと考えています。100人ほどの契約社員との契約は電子化できましたが、400人ほどのアルバイトスタッフとの契約はまだ紙で、作業負担が大きくなっているので、クラウドサインの一括送信機能で対応するべく検討を進めています。私は行政書士の資格を保有していることから、官公署に対する申請書類を作成する機会が多く、数多ある電子契約サービスの中でもいち早く法務省が公認した電子契約サービスである信頼の高いクラウドサインを活用することで、はばひろく電子契約の活用を進めたいと考えております。
最後に、これから活用していきたいと考えている企業に向けてメッセージをいただければ。
増田様
当社としては、コロナ禍後のニューノーマルを見据え、クラウドサインを活用してより一層BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を図りたいと考えています。電子契約の利用を始めるには、今までの法務の知識だけでなく、電子契約やIT関連の全く新しい知見を必要とするので、導入ハードルが低いとは言えません。ただクラウドサインは、契約書を送信する側にとっても受け取る側にとっても、誰にとっても迷わず簡単に利用できるメイドインジャパンらしいツールです。一度使ってもらえれば、その良さに誰もが気付くと思いますので、まずは触れてみてほしいですね。