株式会社東急ハンズ
総務部 総務グループ 佐藤正之様
事業開発部 事業創造グループ グループリーダー 伊藤孔一様
デジタル戦略部 企画戦略グループ グループリーダー 城野佐和子様
「お客様の生活文化の創造をお手伝いいたします。」という企業理念を掲げ、1976年に創業。2021年7月現在、東急ハンズ65店舗(海外含む)に加え、ライフスタイル提案型の小型店舗「ハンズ ビー」、地方の魅力を発見、発信する地域共創型店舗「プラグスマーケット」などを展開している株式会社東急ハンズ様。
クラウドサインの導入経緯や活用方法、導入後の変化についてお話を伺いました。
課題だった契約書の回収率。コロナ禍が見直しのきっかけに。
さっそくですが、クラウドサインを導入した経緯について教えて下さい。
佐藤様
ある社員が取引先から電子契約を持ちかけられたのが一番初めのきっかけでした。そのときはまだ紙の契約書でハンコを押すのが当たり前だったので、東急ハンズとして電子契約で進めていいのかどうか、という判断ができませんでした。
しかし、後に新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発出され、出社率を下げる必要が出てきました。BCPの観点から出社しなくても契約業務が滞らないようにするにはどうしたらいいのかを考えたとき、電子契約が有効ではないかと改めて感じました。それで具体的な導入の検討がスタートしたんです。
ただ、具体的な導入の話が進んだのはコロナ禍がきっかけではありますが、紙書類で回していた社内の契約フローをすべて電子化したい、という思いは以前からずっとありました。
紙の契約書における課題は正直たくさんあったからです。押印申請などの社内決裁が全て完了しているのに、紙の契約書が総務部にいつまでも届かないことや、届いたはよいものの、総務部で押印して担当者に渡した後、先方からの回収ができないということが多々ありました。四半期ごとに契約書の保管状態を確認して催促はしていましたが、行方不明になっている契約書類があるという状況もありました。
決め手は国内シェア。日本で一番選ばれているという安心感。
電子契約サービスにクラウドサインを選択したのは、何が決め手になったのでしょう。
佐藤様
電子契約サービスについて比較解説しているウェブサイトがあり、そこで高評価だったサービスを上から3つほどチェックしました。口コミの件数などを見ていたんですが、やはり国内においてはクラウドサインの圧倒的に高い国内シェアがポイントになりました。日本で一番よく使われているツールを選ぶのが安心だし、ベストだろうと。
基本的に全ての契約書を電子化へ。海外の子会社や親子会社間での契約書にも活用
現在どういった書類でクラウドサインをご利用いただいているのでしょうか?
佐藤様
基本的に法律で書面が必須になっている書類以外は全て基本的に電子契約で、という形にしています。東急ハンズには海外の子会社やIT関連の子会社があるので、そういった親子会社間での契約にもクラウドサインを利用しています。ちょうど今日は商品戦略部という部署でクラウドサインを利用したところです。毎年東急ハンズでは、一般の方から募集する年賀状のデザインコンテストを実施して、入賞者の作品を年賀状にして販売しています。その商品化のための著作権譲渡契約をクラウドサインで行いました。
伊藤様
私がいる事業開発部 事業創造グループという部署では新規事業開発を推進しています。現在グループ内で複数のプロジェクトが走っていて、新規事業を進めていくうえで多くの取引先と契約書をやりとりする機会があるという状況です。
城野様
私の部署では開発などを委託している既存取引先との発注書のやり取り、新規取引先との覚書、NDA、基本契約で利用しています。私の部署ではどちらかというと先方からクラウドサインで発注書を発行してもらうことも多いですね。
社内推進に必要なのは「利用者が電子契約のメリットを理解すること」
社内へのアナウンスや、利用促進はどのように行ったのでしょうか?
佐藤様
クラウドサインの導入コンサルティングサービス(※1)を利用し、当社の既存の承認フローにどうやってクラウドサインを組み込むのか、そこを事前にしっかり設計してもらいました。まずは運用のフローを明確にしたあと、クラウドサインを導入したので使ってください、と社内にアナウンスを行いました。利用促進のための全社的な説明会もコンサルティング担当の方に2度開催してもらいました。
さらに、説明会で使われた資料などはメールで社内に共有し、理解を深めてもらう形をとりました。他社と契約書をかわす際には以前からリーガルチェックのフローもありましたので、そのシステム上で「可能であれば電子契約を使ってください」という一文を入れて利用喚起もしています。
実際に推進を進めていく中で困ったことや苦労した点はありますか?
佐藤様
相手とのやり取りの仕方によっては電子化しにくいケースがあることが分かりました。たとえば東急ハンズの店舗に商品を卸してもらうお取引先様と取引を始めるにあたっては、契約書を含む多くの書類を提出していただかなければなりません。
それらは契約書以外のものもすべて紙書類になっているので、相手からするとそのまま全部紙で提出してしまった方が手っ取り早い。電子化している一部の契約書だけクラウドサインで、というのは面倒なんですね。他の書類も紙になっている限り、電子化が進まない。このあたりは他の契約書とは切り分けて仕事のやり方を変えていく方向で、コンサルティング担当の方と相談を進めています。
一方で、活用すれば業務改善に繋がるという実感があります。導入以前は、相手と商談して承認手順を経て、紙の契約書を印刷・製本して印紙を貼ってハンコをください、と総務部に持って来て、押印されたらレターパックに入れて相手に送っていました。そういう手間のかかっていた部分がなくなって楽になるんだ、といった実績や実感も出てきているので、今後はそういったメリットの部分をより積極的にアピールしていきたいと思っています。
テレワーク中心の働き方。その実現には欠かせないクラウドサイン。
クラウドサインの導入効果として特にメリットを実感しているところはどんな部分ですか。
伊藤様
紙書類だと契約完了までにほぼ1週間はかかっていたところ、クラウドサインだと早いときは当日か翌日には締結が完了します。同じ部署内のみんなが使っていますが、使い方に悩むような難しい部分もないのは本当にいいですよね。
また、押印のために出社することも、総務部に行くこともなくなった点ですね。総務部に押印してもらいに行くたび、仕事の手を止めて対応してもらうのは常々申し訳ないと思っていました。今では押印は必要ないですし、印紙を購入したり、紙テープを使って製本したり、発送したりなどで余計な時間がかかることもなくなったので、確実に楽になっています。
テレワークが中心の今はオフィスにいないので、もし紙の契約書のままだったとすると、相手から返送された契約書類をすぐに受け取ることもできなかったでしょう。そのためだけに出社して確認する、という手間がなくなったのはすごく助かっています。当社では、運良くコロナ前からテレワークにトライし始めていました。1人1台のノートブックが社員に配布され、自宅にWi-Fi環境がない人にはWi-Fiルーターの貸し出しも行っていて。テレワークの環境が整っていても、契約書だけは紙のままであれば今のような働き方はできなかったと思います。
城野様
私のいる部署では、先方からクラウドサインで発注書が届き、それを社内のワークフローツールで回して、総務部に承認してもらうパターンが多いんです。朝に発注があって社内申請すれば、その日の夕方には完了しているほどのスピードで、これは紙だと不可能ですよね。
発注書は金額に関係なく1案件ごとに発注の申請を起こす形なので、数はかなり多いんです。それに押印して、証跡を残すためにスキャンしてPDF化して、さらに宛名を書いて郵送して……みたいなことをやっていたので、以前は1週間程度かかっていました。今はそれらをすべてショートカットできますから、例えばアプリ開発などの納期も実際に以前より約1週間前倒しで進行できていて、ビジネススピードの迅速化につながっている実感があります。
佐藤様
ある部署では、以前は2ヶ月くらいのリードタイムになることもあった契約で、30分もかからずに締結できたと担当者が驚いていました。また、ある部署ではでは請負工事契約で印紙代が数万円に上ることもありますが、クラウドサインだとそのコストも省けるということで好評です。相手によっては契約書の作り方がわからず、製本されていなかったり、印紙が貼られていなかったりもしましたが、電子化でそういうトラブルがなくなったのもありがたいですね。
出社しなくても、クラウドサインを使えば私が在宅で毎日数十件の契約書を処理して送れます。その分、総務部の他のスタッフが週に一度の出社日に、人事や福利厚生関連の紙書類でしかできない業務に集中できるというメリットもあります。
目指すのはオフィスでも店舗でもペーパーレス。
今後、クラウドサインの活用をどのように広げていきたいですか?
佐藤様
全社的に業務フローの電子化、契約の電子化まではできました。あとは請求書などの紙を電子化できないか、と考えています。発注書はすでに電子化できているので、請求書もできるはずです。請求書にもクラウドサインを使えるようになれば、社内での普及はもっと広がるのではないでしょうか。それと事務機器の保守契約、売買契約なども可能なら電子化したいですね。
また、最近では経営会議をリモートにしていこうという動きもあります。会社法では、取締役会の議事録を作成したうえで出席者が署名、押印しなければいけません。ここにクラウドサインを使えないかと考えています。そうすれば、社外の役員にハンコをもらいに行くこともなくなりますので。
そうだったのですね。2020年5月に正式にクラウド型電子署名が取締役会議事録作成に用いる電子署名としても適法と認められてから、取締役会議事録での利用をいただいているお客様もとても増えているんです。
最後に、クラウドサインの導入を検討している企業に向けてアドバイスやメッセージをいただけますでしょうか。
佐藤様
とにかく簡単ですから使ってみてほしいですね。いきなりクラウドサインの利用登録をして使い始めるのが大変そうなら、取引先からの「クラウドサインで契約書を送ってもいいですか」という依頼に積極的に応えていくだけでも便利さがよくわかると思います。
伊藤様
クラウドサインがあると、とにかく楽で、対応も早くなるので、導入しない手はありません。クラウドサインの利用を持ちかけても、取引先からの協力を得にくい場合もあるとは思いますが、取引先の方も楽になることをうまく伝えられれば、互いに手間がかからなくなって幸せになれるはずです。
城野様
契約書のやり取りというのは双方向の話なので、片方だけが進めようとしても成立しないんですよね。今のところ私が担当している範囲で電子化できている割合は全体の3分の2くらいです。でも、最近は電子契約がOKという会社もずいぶん増えてきました。
互いに電子契約がOKなのであれば、絶対に紙書類よりも楽です。電子化のハードルをより低くしていくためにも、できる限り多くの企業がクラウドサインを導入してくれるといいですよね。
※2022年10月1日をもって、株式会社東急ハンズは株式会社ハンズに商号変更いたしました。
(※1)クラウドサインでは、「導入支援コンサルティング」という形で有料にて担当コンサルタントが個社に合わせた電子契約導入のプロジェクトの支援を行っております。ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。