クラウドサインの知名度の高さのおかげで、導入に際してもお客様への説明コストがまったくかかりませんでした
貴社の事業内容について教えてください。
社名の「識学」とは、人が事象を認識し行動に至るまでの思考の働き(=意識構造)を説明した「意識構造学」という学問です。弊社はこの「識学」を応用した独自のメソッドを用いて、組織・マネジメントコンサルティングを行っています。
「部下のモチベーションをあげる必要はない」「従業員の頑張りを評価してはいけない」「現場に社長が出向いて率先垂範をしてはいけない」など、一般的には良いとされているこれらのマネージメントのセオリーがなぜダメなのか、これらをマンツーマンで意識構造から説明し、ご理解いただいたのち実践していただく、3カ月程度のプログラムを提供しています。
さっそくですが、クラウドサインをどのように活用していただいているのか、教えていただけますでしょうか。
弊社のお客様は、新規が月に40社から50社くらい。過去にご契約いただいた方が役員にも受けさせたいなどの理由から再度依頼されるので、それも含めると月に60社から70社ほどになります。
30名弱いる営業担当者が代表者クラスの方と商談して受注してきます。しかし、代表者クラスの方はとてもお忙しいので、契約書をメールでお送りしても、プリントアウトして捺印し、送り返す作業が滞ることもあります。こんなとき、営業担当者が月末、まだ戻ってこない契約書を見込みという形で報告をあげてくることがありますが、経営推進部で月の売上額を集計しようとしたとき、この見込みというグレーの契約も予測として加えていいのだろうか、という疑問が生じてきます。後になって「実は契約いただけませんでした」となると計算が違ってきます。
クラウドサインの導入によって、契約締結が見込みなのか完了済みなのか、正確に把握できるようになりました。
どのような経緯でクラウドサインをご利用いただくことになったのでしょうか。
クラウドサインは有名だったので、2年ほど前から知っていました。ただ、その頃は監査法人などに利用の是非について相談すると、証憑として使っても問題ないという明確な確証までは得られなかったので、少し様子見をしていました。
時間が経ち再度問い合わせたところ、「なりすましができないようになっているか、電子署名として記録が残せるか等、といった点も満たされており、問題ない」と回答がきたことから、2018年3月ごろから導入しました。
導入の決め手となったのは、どういった点が挙げられるでしょうか。
他社サービスと厳密な比較をするというよりは、私たちには見えないシステムやセキュリティ、認証機能に関する信頼性等を重視しました。弁護士ドットコム様が上場会社様で、各種証憑にそれを使っているという点も信頼性の証明となりました。
クラウドサインは導入に当たり初期費用がかからない、ということも導入の決め手としてありました。月々かかる金額的にも安いです。とにかく敷居が低いのが特徴ですよね。
導入されていかがですか。
お客様から契約書を郵送か、捺印済みの契約書をPDFでメール送信していただく面倒をなくせたこと、また、それに伴うタイムラグをなくせたのが一番です。加えて、営業担当者にとっても、契約書の返送を督促する業務は、それなりに負担があります。クラウドサインは、お客様に催促するとき「クリックするだけでいいですから」と言うだけなので、営業もとてもお願いしやすいですし、お客様もわざわざ印鑑を押す、PDFで取込、メール添付して送信という作業をしなくてよいわけですから、「事務処理が面倒」という心理的負担は低いですよね。
それに、クラウドサインほど手軽に契約書が回収できる仕組みであれば、締め日までに回収ができていなければ、営業担当者の個別事情にかかわらず「当月の受注としてはカウントしない」という売上計上ルールを徹底できます。通常、こういうものには個別事情を斟酌したグレーゾーンが発生しがちですが、クラウドサイン導入を機にルールを厳格化したので、現場としても納得感があったと思います。
クラウドサインによってお客様に督促する回数が減り、管理部門は契約書の回収に関する個別事情を営業マンに確認することなく受注ルールが徹底でき、営業担当者も月末に言い訳する必要がなくなる。管理部門もグレーゾーンに悩まなくてすむ。全員のストレスが一気に解消されました。めっちゃいいですよ(笑)。
しばらく運用されてみて、困ったことなどはありませんでしたか?
通常、新しい仕組みを入れると、いままでのやり方の方がいい、と言い出す人が出てくるものですが、クラウドサインではそういうことが一切、ありません。
私どもが提供するコンサルティングの中で「ルールで組織を運用しなさい」という内容がありますので、弊社自身がそういうルールの徹底意識が高いという点はあります。しかしそれにしても、操作方法を全体会議で簡易的に説明しただけなのに、ほうっておいてもみなどんどん使っています。売上計上の期限を守るために有効な手段だと、すぐに理解されたのだと思います。簡単で便利で苦労がなかったので、苦労の解消等のお話しできるエピソードがないです(笑)。
想定以上のメリットもあったそうですね。
契約書は過去に使ったものを再利用することが多いものです。たとえば、利用規約型の契約ですと、古いバージョンの利用規約と取り違えてしまう危険性もありました。クラウドサインならテンプレートを更新しておけば、現場は常に最新版の契約書を作成することができますので、そうした事故も防げます。
契約書の原本管理もクラウドサインに一元化されますので、必要な原本を探すのも楽になりました。
お客さまの反応はいかがでしょうか。
お客様の方もなんの抵抗もありませんでした。なんでだろう?と思うくらいですが、やはりクラウドサインの知名度が高いというところが大きいのではないでしょうか。
お客様にとっては、入力すべき項目がPDF上に設置するテキストフォームでわかりやすく表示されているので、入力に迷わなくて済むという面もあると思います。
今後のご要望や活用プランをお聞かせください。
たとえば、従業員のサーバーアクセスログの時間と、勤怠管理システム上の労働時間が異なるとき、どちらが本当の労働時間だったのかを相互に確認しておく必要があると思います。グレーな部分は一つ一つクリアにして、払うべき時間外手当はしっかり払うべきだからです。そういったときに、「印鑑」を持ち出さなくてもきちんと合意できるに越したことはありません。そういう使い方もありかなというアイデアを持っています。
また、役員会議の議事録などは、多人数で押印する書類ために捺印が揃うのに一か月かかることもあるでしょう。本業にお忙しい社外取締役の方々もいらっしゃいます。こうした書類もクラウドサインできれば、手間と時間を削減できるはずです。お客様とだけでなく、そうした従業員や役員との様々なステークホルダーとの合意とその証憑づくりを、クラウドサインにまとめていってよいのではないでしょうか。
当社自身が識学を徹底していることもあって、当社は無駄が嫌いな企業です。無駄をなくすためにも、お互いの合意の証憑をしっかり残すことが重要です。その手間をクラウドサインにすれば、お客様の抵抗も、契約する現場も、チェックする管理部門も負担なくみんなハッピーになる。このサービスはお世辞抜きで良いと思っています。使わない会社があるなら、使わない理由がちょっとわからないくらいです(笑)。「クラウドサイン経済圏」がこの勢いで拡大してほしいものですね。