選んだポイントは「サービスの継続性」。会社のイメージにもプラスの効果
貴社の事業内容について教えてください。
信國様
当社、ADインベストメント・マネジメントは、アドバンス・レジデンス投資法人というJ-REIT(ジェイリート)の資産運用会社です。J-REITは不動産投資信託とも呼ばれ、投資家の皆様から預かった資金で不動産の購入や運用を行い、その利益を還元するものです。
そして、2018年6月から、新しい事業を始めました。それが「原復工事の元請業務」です。
「原復工事」とは?
信國様
原状回復工事のことですね。当社は「RESIDIA」というブランドのマンションを260棟、計2万1000戸運用していますが、お客様がマンションを退去された後、次のお客様にお貸し出しする前に部屋を本来あるべき元の状態に戻します。その工事の元請会社として私たちが受託する取組みを始めました。
その新しい事業のなかで、クラウドサインを利用されているわけですか。
信國様
そうです。原復工事は、退去から次のお客様が入居するまでのダウンタイム中に行いますが、その期間を短くすることが物件の収益率向上のためには重要です。私たちは、原復工事期間を30日から22日に短縮する、という目標を掲げました。
そのためには、お取引先である9社の施工会社と取り交わす契約業務の効率化は不可欠で、工事期間や工事金額などを取り決めた発注書・請書は、1カ月で400件に上ると見込んでいました。
それほどの規模だと、紙書類では短い期間でやりとりするのは困難ですね。
信國様
ですので、そういった紙書類の作成、配送の手間や時間を減らさなくてはいけませんでしたし、印紙代や郵送費などの金銭的コストも小さくないことが事前にわかっていました。業務を効率化しコストを削減するには、書類を電子データにする他ないと考え、いろいろなツールを探しました。
そのなかでもクラウドサインを選ばれた理由はどこにあったのでしょうか。
信國様
代表的な他のツールと合わせて検討したところ、私たちに一番フィットしたのがクラウドサインでした。決め手は、法律面で的確な答えをくれたから。他は明確にお答えいただけませんでした。クラウドサインは法律以外でも返信がものすごく早かった(笑)。
阿草様
クラウドサインが、独自にグレーゾーン解消制度を利用して経済産業省からお墨付きの回答をもらったという書面、あれがあったから安心して利用できた、というのもありますね。
信國様
クラウドサインは、やりたいこととできることが、とても近かったです。他のツールはあれもできる、これもできると機能は豊富でしたが、クラウドサインは私たちがやりたいことがシンプルにできるようになっていました。
あとは継続性。運営が弁護士ドットコムということで、すぐにサービスをやめることはないだろうな、と(笑)。こういう仕組みは、サービスが中断してしまうとアウトなんです。10年継続していただけるイメージをもてる会社ということで、クラウドサインを選びました。
クラウドサイン導入の際に混乱はありませんでしたか。
信國様
2017年10月くらいから検討を始めて、具体的に動き始めたのは12月。そこから6カ月で新事業開始とともに利用を始めました。混乱は全くなかったです。むしろお取引先からは、その便利さに賞賛の声を頂きました(笑)。
阿草様
当社としても混乱がなかったのは、今回、既存の業務に乗せる仕組みとしてクラウドサインを導入したわけではなかった、というのもあります。ゼロスタートの業務で採用したので、そもそも今までやったことがないことをどうすればいいのか、暗闇のなかを模索していたようなときに、電子契約ができるクラウドサインに出会ったのです。
1通ごとに数百円の印紙を貼付する必要はないし、書類を紙で作ってハンコを押して郵送する従来の作業も一切不要で、クリックするだけでおしまい。この差は本当に大きかったですね。これがなかったら原復工事の新事業を始められなかったかもしれません。
1日でも早く原状回復工事が終われば、その分次のお客様が入居できるので、売上を上げやすくなるわけですよね。
信國様
その通りです。また、コストも削れています。従来のやり方だと、印紙代、郵送費用や人件費で1件あたり500円以上のコストとなります。クラウドサインの利用料を考えても、十分に投資対効果が出ています。
他にもクラウドサインの導入によるメリットはありましたか。
信國様
契約書のデータ化によって、検索が可能になったことも大きいですね。当社は、あらゆる業務において、証跡化と説明責任が求められています。紙だとやりきれない。でもデータならできちゃいます。捺印が不要なのもいいですね。いつまでに、誰に押印してもらわないと、というのがけっこう大変だったりしますから。
それと、こういったシステムを利用していると、お付き合いのある取引先に、先進的な取り組みをしているイメージをもってもらえるのもありがたいです。
御社ではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入で働き方改革を進めていく、といった発表もされていますね。
信國様
生産性を向上していきたい、という思いがあります。クラウドサインについても、APIを利用して当社のシステムからデータをつなげて、手作業をほぼなくし全てがシームレスになる仕組みにしています。
API連携などで対応が難しかったところは?
信國様
それも改めて開発担当者に確認しましたが、特にないとのことでした。機能をまだ限定的にしか使っていないこともあると思いますが、今のところ全く問題ないようです。
クラウドサインにもっとこんな機能があればいいのに、と思うような点はありませんか。
信國様
お取引先からも評判のいいクラウドサインですが、クラウドサインを使えば契約書の文面も勝手に作ってくれる、と思われている面がありそうです。実際は、私たちで契約書のテンプレートを用意し、そこにデータを流し込んでクラウドサイン上で使う、という形ですが。
でも、私たちとしても、本当にそれができればとても便利になると思っています。
AIで契約書類を作成しそのままクラウドサインで送信する仕組みを検討しています。
信國様
スマートフォンで契約書を作成し、すぐ相手に送って手続きを進める、といった流れが数年内には可能になるかもしれませんね。そういった賢いシステムができあがると、本当にうれしい。
かつては自前で様々なシステムを作っていた時期がありましたが、もうそういう時代じゃないですよね。技術に強い会社と手を組み、一緒にどうやっていくか。今回のクラウドサインの導入は、そういう意味で面白い試みでもありました。