貴社の事業内容について教えてください。
当社は、オンラインのお仕事マッチングサービス「クラウドワークス」を運営しています。
クラウドワークスでは仕事を発注する方法が二通りあります。一つ目は「発注者が受注者にオンラインで直接仕事を依頼する方法」で、二つ目は「当社が発注者に代行して、受注者とのやりとりを行う方法」です。
後者は大量の仕事が発生するケースであったり、長期に渡って仕事が継続するケースでよくご利用いただいており、私が所属するエンタープライズ事業部ではそちらを担当しています。
エンタープライズ事業部の一連の業務の流れを教えてください。
エンタープライズ事業部の業務の流れは以下の通りです。
- お客様(発注者)に対して要件のヒアリングを行う
- プランを提案する
- 制作進行をする
- 納品、検収をする
- 請求、回収を行う
今回、クラウドサインを導入したのは4の「検収」です。当社からの検収依頼や、お客様の検収をクラウドサイン上で行っています。
※ 検収:発注者が納品物を発注条件にあてはまるかを確認した上でうけとること
いわゆる「契約」ではなく、「検収」でお使いいただいているのですね。
はい、当事業では検収して初めて売上を計上することができますので、検収は非常に大切な作業です。
クラウドサインの導入前はどのような方法で検収作業をしていましたか。
弊社内で金額等の基準を設けた上で、金額的に重要性の低い一部の案件につきましては、当社からお客様宛に納品の条件を記載したメールを送りまして、お客様から了承の旨を返信していただいていました。返信されたメールはエンタープライズ事業部から経理に転送されまして、経理が内容を確認した上で売上として確定させます。
当時の課題をお聞かせください。
一番の課題は内部統制で、具体的には「検収が不明確になりがち」というものでした。
メール本文にて納品内容を示した上で
「この内容で検収とさせていただいて宜しいでしょうか」
「はい、結構です」
というやりとりを行っていたのですが、メールですので文章の前後に検収とは関係のない文言が入ることがあります。そのため経理が検収として適切かを判断するのに手間がかかっていました。
実際に検収としての条件を満たしていないメールが事業部から経理に転送されることもあり、検収のエビデンスの再取得が必要になる等、内部統制上の課題があると考えておりました。
もちろん「紙の納品書を出して検収書を返信していただく」という従来型の方法であればこのような不明確さは排除できますが、あまりも時間がかかりすぎてビジネスのスピードが遅くなってしまいます。
クラウドサインをご利用いただいた経緯を教えてください。
元々、契約の電子化でクラウドサインを利用することを検討していたのですが、検収により大きな課題を抱えていたため先んじてそちらで利用することにしました。
なぜ他のツールではなく、「クラウドサイン」を選びましたか。
開発費用がかからず、かんたんですぐに使えることが理由です。またSalesforceとの連携を予定している、ということも大きかったです。
将来的には当社もその機能を活用し、Salesforceからボタンひとつで書類を送れるようにする予定ですが、どうせ未来にそうするのであれば今のうちに慣れておこう、と思い導入しました。
どのような手続きで導入を進めましたか。
お客様が受け入れてくださるかだけが懸念でしたので、まずは一部の案件でフィジビリティスタディを行いました。説明資料を用意したこともあり、ご理解いただけることが分かりました。
そこで全面的な導入をするために社内向けの説明会で新しい業務の方法を周知し、運用を開始しました。
「クラウドサイン」導入によってどのような効果がありましたか。
Salesforceから出力された検収書に対して、お客様がクラウドサイン上で同意する、というシンプルなやりとりになったことで、課題だった内部統制の問題がなくなりました。
またこれまでは営業やディレクターが納品の延長線上でお客様に検収のメールを送っていましたが、クラウドサインの導入に伴い事務側で検収業務をまきとることにしました。これによって売上の発生および見込状況が透明化して把握しやすくなったり、営業やディレクターの業務量を大幅に削減することができるようになりました。
これまで長文メールの中から検収に該当する箇所を目検で探し妥当性を一々チェックしていた経理や、検収作業のために残業や休日勤務をしていた営業などに喜ばれています。
またお客様としてもメールだと、「お世話になります」から始まる文章をうつ必要がありますが、クリックだけで検収が済みますので検収のスピードが上がりました。
今後の展望について教えてください。
やはりSalesforceとのAPI連携が重要です。今のところSalesforceとクラウドサイン、両方を触って業務をしていますが、両者が連携すれば手作業が減りさらなる業務効率化が期待されます。
また検収だけでなく、契約や発注の電子化にも取り組んで、将来的にはすべての対外的な合意取得をクラウドサイン上で行うことができればと思っています。