契約実務

契約書管理台帳とは?重要な理由や作成手順、運用上のポイントを徹底解説

契約書は企業の営業活動において重要な役割を持ちますが、取引先の多い企業は契約書の管理にも苦労するはずです。そこで役に立つのが契約書管理台帳です。契約書管理台帳とは、取引先との契約書を一元的に管理し、検索しやすいようにまとめたものを指します。

本記事では、契約書管理台帳が重要な理由や、作成手順、運用上のポイントなどを詳しく解説します。

契約書管理台帳とは

契約書管理台帳とは、企業や組織において締結した契約書に関する情報を一元的に管理するための台帳です。
契約書の締結日、契約相手先、契約内容、契約金額、担当者、更新時期、満了日などの情報を整理し、可視化することで、契約に関する重要な情報を効率的に管理します。

特に取引先が多い企業や、営業におけるリース契約など多様な契約を締結している企業にとって、効率的かつ一元的に契約書を管理することは非常に重要です。

契約書管理台帳は、電子契約サービスを利用するのが一般的ですが、Excelなどのツールを利用して独自に作成するケースもあります。

Excelで契約書管理台帳を作成する方法は、以下の記事を参考にしてください。

契約書管理台帳が重要な理由

契約書管理台帳が企業にとって重要な理由として、主に以下の3つが挙げられます。

  • 契約の期限切れ防止につながるため
  • 内部統制の強化につながるため
  • 業務効率化になるため

それぞれについて簡単に解説します。

契約の期限切れ防止につながるため

契約書管理台帳は、契約の有効期限を管理するために非常に有用です。

契約書には、更新の有無や契約終了日が記載されており、契約が自動更新でない場合は、満了日を把握し適切な時期に更新手続きが必要です。契約の期限が切れると、取引が停止となったりサービスの提供が中断されたりする可能性があり、企業にとって大きな不利益が生じる可能性が高まります。

例えば、企業の日常的な業務に必要な契約が失効したままの状態を放置していると、業務に支障をきたす上、法的な問題が発生するリスクが増すでしょう。特に、重要な取引先やサプライヤーとの契約期限を見落とすと、取引条件の見直しや価格交渉の機会を失う場合もあります。

契約書管理台帳に契約の締結日や満了日、更新に関する情報を記録しておくことで、事前に更新が必要な契約を把握し、適切なタイミングで対策を講じることが可能となります。

内部統制の強化につながるため

契約書管理台帳の導入は、企業の内部統制強化に大いに貢献します。

企業内で多くの契約書が管理されている場合、契約内容の適切な管理が難しくなり、不正や人的ミスのリスクが増加します。

管理台帳を利用して契約情報を集約すれば、各部門や担当者が契約に基づいた適切な業務を遂行しているか確認しやすくなり、内部統制が強化されるでしょう。

また、権限を持たない人が契約を勝手に締結してしまうリスクや、承認プロセスが適切に実施されていないリスクを防止できます。

契約書管理台帳は、情報の一元管理やアクセス制限を通じて、企業のガバナンス強化にも貢献する重要なツールといえるでしょう。

業務効率化になるため

契約書管理台帳を用いると、大幅な業務効率化が期待できます。

契約書を個別のファイルやフォルダで管理していると、必要な情報の検索に多くの時間がかかり、担当者の負担が増加します。一方で、契約書管理台帳を活用すれば、契約に関する情報を一元的に管理できるため、必要な契約書や情報に迅速にアクセスできます。

例えば、契約更新の際には、契約書管理台帳を確認することで、どの契約がいつ更新が必要か、どの取引先が重要かといった情報を簡単に把握でき、対応の遅延を防ぎます。また、管理台帳に契約金額や支払い条件を記載しておけば、請求書処理や予算管理の際にもスムーズに対応できるでしょう。

さらに、契約管理の業務フローが統一されることにより、複数の担当者が同一の情報を共有しやすくなり、契約情報の一元化を通じて業務プロセス全体の効率化が図れます。こうした管理台帳の運用により、各業務の工数を削減できる上、業務の重複や人的ミスも減少し、業務効率が大幅に向上します。

Excelで作成する場合のメリットとデメリット

契約書管理台帳は、電子契約サービスを利用せずに、Excelを用いて会社や部門が独自に作成し運用することも可能です。

Excelで契約書管理台帳を作成するメリットとしては、まず手軽に作成できる点が挙げられます。Excelは多くの企業で普及しており、特別なツールを導入する必要がありません。セルやシートを使い分けて、契約書の情報を自由に整理でき、柔軟にカスタマイズが可能です。

加えて、Excelは関数やフィルタ機能を使うことで、契約の満了日や更新日を簡単に検索・ソートできるため、契約内容の管理が比較的スムーズに行えます。

一方で、Excelにはいくつかのデメリットもあります。まず、入力時の打ち間違いや、意図せぬセルやシートの削除など、単純な人的ミスが発生しやすい点が挙げられます。また、複数の担当者が同じファイルを更新すると、データの重複や最新情報の反映漏れが発生しやすく、整合性が損なわれるリスクがあるでしょう。

さらに、Excelではアクセス権限の細かい設定が難しいため、機密情報を含む契約書管理には不向きです。結果として、長期的・大規模な契約管理には、専用の契約管理システムを導入する方が安全かつ効率的になるケースが多いといえます。

契約書管理台帳に必要な項目

契約書管理台帳を作成する際には、基本的に以下のような項目が必要となります。

項目名 概要
契約番号 契約書を重複なく管理するための番号
契約相手 契約相手の名称や住所、連絡先など
契約内容 契約の内容や目的など
契約期間 契約の締結日と満了日
金額 契約金額や支払い方法など
更新時期 契約の更新が必要となる時期・日付
自動更新の有無 自動更新の有無
担当者 担当者名や担当部署
備考欄 その他必要な事項を記載できるスペース

また、企業の契約書の管理フローに応じて、関連資料やリスク評価などの項目を設けると、より効率的かつ一元的な契約書管理が可能です。

契約書管理台帳の作成手順

契約書管理台帳を作成する際は、以下の手順に従うと効果的な契約書管理が実現できます。

  1. 管理項目を洗い出す
  2. 管理台帳のフォーマットを作成する
  3. 各契約書の情報を入力する
  4. 社内の運用ルールを策定する

1.管理項目を洗い出す

契約書管理台帳を作成する際は、まず管理項目を洗い出すステップから始めましょう。

契約書に含まれる重要な情報を漏れなく記録できるよう、契約ごとに必要な基本情報(契約相手先、契約日、契約内容、契約金額、担当者、満了日など)をリストアップします。加えて、企業にとってリスクの大きい契約期限切れを防ぐために、更新時期や自動更新の有無なども、含めるといいでしょう。

これらの項目を予め整理することで、実際に台帳を作成した際に抜け漏れがなく、後から修正する手間も省けます。管理台帳に必要となる項目は企業文化や導入目的によって異なるため、適切な形にアレンジすることが重要です。

2.管理台帳のフォーマットを作成する

管理項目が決まったら、それに基づいて管理台帳のフォーマットを作成しましょう。
Excelを使用する場合、各列に項目を設定し、行ごとに各契約の情報を入力できるようにレイアウトを整えます。使いやすさを考慮し、重要な項目は左端にまとめたり、契約期限や更新期日などの通知が必要な情報には色分けや条件付き書式を適用するのも効果的です。

また、入力ミスを防ぐためにドロップダウンリストを設定するなど、入力のルールや形式を整えることも大切です。フォーマットの完成度が管理の正確さに影響するため、使いやすく一貫性のあるレイアウトを工夫しましょう。

3.各契約書の情報を入力する

フォーマットが完成したら、実際に各契約書の情報を台帳に入力します。まず、最新の契約から順に基本情報を漏れなく入力し、締結日や更新日、契約金額、担当者名などの情報を正確に記録します。

過去の契約についても可能な限り情報を集め、統一して入力することで、契約内容を一覧で確認できるようになります。ただし、手打ちで契約書情報を入力していくのは時間がかかる作業となる上、入力間違いなどのミスも起こりやすいです。

契約書管理システムを用いれば既存の契約書をデータベース化してくれるため、人為的ミスが防げる上に大幅なコスト削減が期待できます。今後契約書管理台帳の導入を検討している場合は、契約書管理システムの利用を選択肢に入れるべきでしょう。

4.社内の運用ルールを策定する

最後に、台帳を有効に活用するための社内運用ルールを策定します。具体的には、情報更新のタイミングや担当者、入力ミスがないかの定期的な確認方法などを明確にすることで、管理台帳の正確性を保てます。

また、契約期限が近づいた際に誰が対応するのか、更新や変更が発生した際の手続きなど、台帳の利用ルールも事前に定めておくと良いでしょう。さらに、アクセス制限や台帳のバックアップ方法も決め、情報セキュリティの観点からも管理体制を整えることが重要です。

契約書管理台帳を利用する際のポイント

契約書管理台帳を利用する際は、以下のポイントを抑えておきましょう。

  • 目的を明確化する
  • 一元管理を徹底する
  • 有効期限や保管期限を管理しやすいようにする
  • アクセス権限を設ける

目的を明確化する

契約書管理台帳を効果的に利用するには、まず目的を明確にすることが重要です。契約書管理台帳を導入する目的は企業によりさまざまで、具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 契約情報を整理し、期限管理を徹底することで、更新漏れを防ぐ
  • 契約内容の可視化により、企業の内部統制を強化し、迅速な意思決定を支援する
  • 契約内容を分析し、取引先との交渉に役立てる
  • 契約上のリスクを把握し、問題を未然に防ぐ
  • 契約情報のアクセス権限を管理し、情報漏えいを防ぐ など

いずれも契約管理台帳導入の目的として重要ですが、特にどういった目的に重点をおくかによって、管理項目や運用ルールが変わってくるはずです。

目的が明確であれば、必要な管理項目や運用ルールの策定が容易になり、担当者がどの情報を記録すべきかが明確になるため、効率的に台帳を運用できます。

また、利用目的を明確にし、定期的に見直すことで、業務の変化や新たなニーズに応じて台帳を柔軟に改善していくことができ、長期的に役立つ管理ツールとして機能するでしょう。

一元管理を徹底する

契約書管理台帳を有効活用するには、一元管理を徹底することが必要です。契約情報が部署ごとや個人ごとに分散して管理されていると、情報の把握が困難になり、更新漏れや管理ミスが生じやすくなります。

一元管理を徹底することで、全ての契約書情報が台帳に集約され、業務に関わる社員が常に最新の情報を確認できるようになります。情報の一元管理は、企業全体のガバナンスを強化するだけでなく、業務効率の向上や不測の事態に備えたリスク管理にも繋がるでしょう。

有効期限や保管期限を管理しやすいようにする

契約書には有効期限や保管期限があるため、これらを簡単に管理できるように台帳を設定することが重要です。

具体的には、有効期限や保管期限を台帳の目立つ位置に記載し、条件付き書式やカレンダー機能を利用して、期限が近づくと自動で通知が出るように設定することで、更新漏れや無効状態の契約を防ぎやすくなります。

また、台帳に保管期限を記録しておくと、契約終了後の適切な保管期間を確認し、不要な契約書を適時に廃棄でき、情報管理の効率化が図れます。これにより、契約が有効であるかどうかを常に確認しやすくなり、リスク管理を徹底することが可能になるでしょう。

アクセス権限を設ける

契約書には機密情報が含まれている場合が多いため、契約書管理台帳にはアクセス権限を設けることが不可欠です。全社で共通の台帳を使用する場合でも、閲覧や編集が許可される範囲を明確に分け、機密情報が関係者以外に漏れないようにします。

さらに、特に重要な契約書にアクセスできる権限を絞ることで、情報流出のリスクを最小限に抑えられます。権限管理により、内部統制が強化され、コンプライアンス遵守やリスク管理の観点からも適切な契約管理が実現するでしょう。

契約マネジメントプラットフォームなら紙・電子を統合管理できる

本記事では、契約書管理台帳のメリットや作成方法などについて詳しく解説しました。データベース化した契約書管理台帳による契約書管理は、企業の業務効率化やコンプライアンス遵守に大きく貢献します。

その一方で、従来の紙面の契約書も含めて全てを契約書管理台帳での管理に移行するには大変な手間と労力がかかります。そこで、契約管理プラットフォームの「クラウドサイン」の活用がおすすめです。クラウドサインの「書類インポート機能」や「AI契約書管理機能」を用いれば、手間をかけずに紙・電子の契約書を統合管理できます。

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この記事を書いたライター

弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部

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