契約実務

賃貸借契約書とは?必要書類や手続きの流れをひな形(テンプレート)とあわせて解説

賃貸借契約書とは、マンションやアパートなどの賃貸物件を貸し借りする際に、貸主と借主のあいだで定めた賃貸条件を記した文書です。

賃貸借契約書は、賃貸借契約を交わす際に必ず必要な文書であり、必要事項を漏らさず記載しなくてはなりません。そのため、賃貸借契約書を作成する際にはテンプレートを有効活用するのがおすすめです。

当記事では、賃貸借契約書のひな形(テンプレート)を紹介しながら、賃貸借契約書について詳しく解説します。また、記事後半では賃貸借契約の際に必要となる書類や賃貸借契約の手続きの流れについても解説します。ぜひ参考にしてください。

賃貸借契約書とは?

まず、賃貸借契約書の概要や内容を確認しておきましょう。

賃貸借契約の際に必要な文書のこと

賃貸借契約書とは、賃貸借契約を交わす際に必要な契約書のことです。賃貸借契約は、民法によって以下のように定められています。

(賃貸借)

第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

【引用: 民法第601条 - e-Gov 法令検索

つまり、賃貸借契約とは貸主が家賃を受け取る代わりに、借主が物件を使用することを約束する契約を意味しています。そのため賃貸借契約書には、その約束の内容や、貸主や借主の住所・電話番号などの個人情報について記載する必要があります。

賃貸借契約書の記載内容

※出典:国土交通省、国土交通省、https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023.html、2024年6月23日

 

賃貸借契約書の記載内容は、具体的には以下の通りです。

【賃貸借契約書の内容および項目ごとの概要】

内容 概要
賃貸借の目的物 ・賃貸借物件の名称や所在地
・共同住宅なのか戸建てなのか
・木造か鉄骨なのかなどの構造
・間取りについて
・アパートであれば何号室か
・トイレや浴室の有無などの設備の有無
・駐車場やバイク置き場などの附属施設の有無
契約期間 ・⚪️年⚪️月から⚪️年⚪️月までと期間を記載
賃料等 ・家賃として借主が支払う金額
・振込先の口座
・支払い期日
・共益費や敷金など
貸主および管理業者 ・貸主および管理業者の氏名(名称)、電話番号、所在地
借主および同居人 ・借主の氏名、年齢、電話番号
・緊急時の連絡先
保証人および保証会社 ・保証人および保証会社の氏名、電話番号、所在地
契約に関する事項 ・建物の使用目的
・反社会的勢力の排除に関して
・契約解除などの条件に関して

賃貸借契約書には法律で定められたフォーマットはありませんが、契約において漏れがないようにひな形(テンプレート)を用いて作成するのがおすすめです。

賃貸借契約書と重要事項説明書の違い

賃貸借契約の際に必要な書類として、賃貸借契約書とよく似たものに「重要事項説明書」があります。

賃貸借契約書は貸主と借主の間における「契約後のトラブル防止」のために作成されるのに対して、重要事項説明書は借主が「実際に契約するか判断するための資料」として作成されます。

賃貸借契約書は、その名のとおり契約書であり、賃貸物件に関する情報や、どういう条件で貸し出すかという内容が記載され、貸主と借主の双方が保管します。

一方、重要事項説明書は、宅地建物取引士がこれから契約しようとしている物件の内容や契約に関して記載し、借主が本当に契約するかどうか検討してもらう目的で提示されます。宅地建物取引業法35条に基づき作成されることから、一般的に「35条書面」と呼ばれています。

賃貸借契約を結ぶ際に賃貸借契約書は必ず必要ですが、重要事項説明書に関しては、不動産会社を介さずに貸主が直接借主が物件を貸す場合などは特に作成されないケースもあります。

賃貸借契約の流れ

賃貸借契約の流れは、一般的に以下のように進んでいきます。各項目を確認しておきましょう。

①賃借人が希望物件を見つけた上で不動産会社に問い合わせる
②賃借人が不動産会社に出向き物件を確認・内見を行う
③賃借人が入居を申し込む
④不動産会社が入居審査をする
⑤不動産会社による重要事項説明の後賃貸借契約を結ぶ

①賃借人が希望物件を見つけた上で不動産会社に問い合わせる

賃借人は、インターネットや不動産情報誌、店頭の情報などを通じて物件を探し、エリアや賃料などの条件が希望に合う物件を見つけます。
希望物件を見つけた賃借人が不動産会社に電話やメールで問い合わせを行い、物件の空き状況や詳細な情報を確認します。また、問い合わせの際に内見の予約をすることもあります。
問い合わせを通じて、不動産会社との最初のコミュニケーションが始まり、具体的な物件の検討が進められる段階となります。

②賃借人が不動産会社に出向き物件を確認・内見を行う

問い合わせの後、賃借人は不動産会社に出向いて物件について説明を受けます。
多くのケースで、説明を受けた後に不動産会社の担当者と一緒に希望物件の内見を行います。内見の際には、物件の広さや設備、日当たり、収納スペースの状況などを細かくチェックします。

また、賃借人は物件の状態を確認するだけでなく、スーパーやコンビニの有無などの周辺の生活環境や交通の便などもあわせて確認しておくといいでしょう。

賃借人は、不動産会社に問い合わせるきっかけとなった一件のみではなく、複数の物件を内見して比較検討し、最終的に希望に合った物件を決定することが一般的です。

そのため、内見の問い合わせを受けた不動産会社は、顧客のニーズに合いそうな物件を複数提案するケースが多いです。

③賃借人が入居を申し込む

内見を終えた賃借人が希望物件に入居したいと決めたら、不動産会社に対して入居の申し込みを行います。

入居の申し込みの際には、身分証明書や収入証明書と共に不動産会社指定の入居申込書を提出するのが一般的です。

入居申込書には、賃借人の個人情報や勤務先情報、緊急連絡先、連帯保証人の情報などが含まれ、提出された情報は後の入居審査に使用されます。

また、賃借人は申込時に申込金(保証金や手付金)を支払う場合もあります。

この申込金は、契約が成立した場合には初期費用の一部に充当されますが、契約が成立しなかった場合には返金されることが一般的です。

④不動産会社が入居審査をする

入居申し込みが完了すると、不動産会社は賃借人の入居審査を行います。

この審査は、賃借人と賃貸契約を結ぶべきかどうかを判断するためのもので、主に賃借人の支払い能力が確認されます。

入居審査においては、主に以下の要素が判断材料となります。

・賃借人の収入状況
・勤務形態
・勤務先の安定性

また、賃貸借契約の際には保証人の代わりに不動産会社指定の保証会社がつくケースもあります。

保証会社によっては、過去の家賃の滞納状況や、クレカやローンなどの支払い状況などの信用情報も、審査の対象になる可能性があります。

⑤不動産会社による重要事項説明の後賃貸借契約を結ぶ

賃借人が不動産会社や保証会社による入居審査に通過したら、不動産会社は賃借人に対して重要事項説明を行います。

重要事項説明は宅地建物取引士が行い、物件の設備などの状態や契約条件、賃料、敷金・礼金、契約期間、更新料、退去時の費用などについて賃借人に確認してもらいます。

説明を受けた後、賃借人が内容に同意すれば、入居日を決定して賃貸借契約書に署名・押印を行い、正式に契約が成立します。

賃貸借契約が成立したら、賃借人は初月分の家賃や敷金礼金などの初期費用を支払い、入居日までに鍵を受け取り、入居を開始します。

賃貸借契約の際に必要な書類

不動産会社と賃貸借契約を結ぶ際には、さまざまな書類を用意する必要があります。賃借人が提出を求められる書類は不動産会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

具体的には、以下のような書類が必要になるケースが多いです。

・住民票
・在職証明書・内定通知書など勤務先を証明するもの
・給与明細書や源泉徴収書などの給与を証明するもの
・印鑑証明
・学生証のうつし

また、保証人が必要となる場合には、保証人の住民票なども提出を求められるケースがあります。

賃貸借契約を電子化すると事業者と入居者双方にメリットがある

現状は賃貸借契約を紙ベースで行っているが、電子契約サービスによる締結に切り替えることを検討している不動産業者の方も多いのではないでしょうか。以前は不動産賃貸の契約における必要書類は書面での交付が義務づけられていましたが、2022年8月の宅建業法の改正により、賃貸借契約を電子契約にて締結することが可能となりました。

賃貸借契約を電子契約サービスによる締結に切り替えることは、事業者と入居者双方にとってさまざまなメリットがあります。

ここでは、不動産業者と賃借人のそれぞれの視点から、賃貸借契約を電子化するメリットについて解説します。

事業者側のメリット

賃貸借契約書を紙面から電子契約サービスに切り替えることは、不動産業者などの事業者にとって多くのメリットがあります。

まず、電子契約サービスならば、新規契約から更新、解約に至るまでの契約プロセスがほぼすべてオンラインで完結します。遠方の顧客であっても契約の締結が即座に行えるうえ、外出中であっても契約書などの確認が容易であるため、契約作業が迅速化され、事業効率の大幅な向上が期待できるでしょう。

また、契約書の作成、送付、保管にかかる時間とコストも大幅に削減できます。紙の契約書で発生していた印刷費用や郵送費用が不要になるため、経済的な負担を抑えられ、契約書の印刷やファイリングが不要になることで契約書作成業務の工数も削減できます。

さらに、電子契約サービスはセキュリティ面でも紙の書類よりも優れています。一般的な電子稀有医薬サービスは電子データに電子署名とタイムスタンプを付与することで、「誰が」「何を」「いつ」合意したかが証明でき、電子契約の完全性と真正性を強固にしているためです。これにより、契約書の不正な改ざんや紛失のリスクを抑えられます。

事業者にとって重要な文書である賃貸借契約書をデータとして保管することで、検索や管理も容易になり、必要な情報を迅速に確認することが可能です。

入居者側のメリット

入居者にとっても、賃貸借契約書を電子契約サービスに切り替えることは多くのメリットがあります。

まず、契約締結のために不動産会社へ出向くなどの物理的な移動が不要となり、自宅や職場から手軽に契約を締結できるため、時間と手間が省けます。時間に追われる現代人にとって、オンライン上の手続きのみで契約を完結できるという利便性は大きな魅力といえるでしょう。

また、契約書の内容を電子データとして保存できるため、いざというときの紛失の心配がなくなります。必要なときにいつでもスマートフォンやパソコンから契約書を確認できるため、安心感を持って賃貸契約を結べるはずです。

さらに、電子契約サービスは手書きでのサインや印鑑が不要であり、手続きが簡便化される点も利点といえます。

なお、賃貸借契約を電子化する具体的な方法を知りたい方は「賃貸借契約を電子契約にする方法とは?流れや注意点も解説」もご一読ください。

まとめ

賃貸借契約書は、賃貸借契約において最も効力のある書類のため、慎重に扱う必要のある書類です。

多くの場合、不動産業においては膨大な紙の契約書を保管する必要があり、管理も煩雑になりがちなため、紙の契約書を電子化することで、不動産賃貸業で発生する事務作業の効率化に繋がります。事務作業にかかる時間的コストや金銭的コストを削減したい方には電子契約サービスの導入がおすすめです。

貸主と借主の双方が安心感を持って契約を締結するためにも、ぜひ電子契約の導入を検討してください。

なお、賃貸借契約書のひな形(テンプレート)を探している皆様のために、無料でダウンロードできるWordファイルも提供いたしますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

「賃貸借契約書」ひな形
無料ダウンロード
無料ダウンロード無料ダウンロード

クラウドサインでは「賃貸借契約書」のひな形をご用意しました。入居者との賃貸借契約と締結するためのひな形(テンプレート)をお探しの方はダウンロードしてご活用ください。

ダウンロードする(無料)

契約のデジタル化に関するお役立ち資料はこちら

この記事を書いたライター

弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部

こちらも合わせて読む

クラウドサインに関して、
ご不明な点がございましたら
お気軽にお問い合わせください

icon book

「3分でわかるクラウドサイン」

資料ダウンロード(無料)
icon mail

プランや料金について

問い合わせる
icon pc

フリープラン登録

無料ではじめる