NDAは意味がない?実効性のあるNDAを締結するためのポイントを解説
NDAは新規の取引を開始するビジネスシーンでは締結するのが一般的になっている契約書ですが、NDAの意味を疑問視する声も少なからずあります。当記事では、実効性のあるNDAを締結するためのポイントを解説しますので、NDAの締結について改めて確認したいという方はぜひご一読ください。
NDAとは
NDAとは、英語の「Non-Disclosure Agreement」の略であり、日本語では「秘密保持契約」と訳されます。秘密保持契約とは、秘密情報を受領した者に、秘密保持義務(守秘義務)を課す契約です。
「秘密保持契約」は英語表記の頭文字をとって「NDA」とも呼ばれます。自社の秘密情報を相手方に開示する際、秘密情報の第三者への無断開示や目的外の利用を防止するためにNDAを締結するという立て付けになっており、自社情報を外部に公開する必要のあるビジネスの現場では一般的な種類の契約です。
「NDAは意味がない」と言われる背景
Google等の検索エンジン上で「NDA」と検索すると、予測変換で「NDA 意味ない」という検索語句が出現する場合があります。
このように「NDAは意味がない」と言われるようになった背景には、当ブログの記事「訴訟における企業間NDA(秘密保持契約書)の法的拘束力とその限界」にも記載がある通り、企業間NDAに関する判例がほとんどないという現状が影響していると考えられます。
かろうじて秘密保持義務に違反したとして紛争になったケースはあるものの、厳格なNDAを締結したからといっても、その秘密情報が不正競争防止法に定める営業秘密の3要件(秘密管理性、有用性、非公知性)を満たすような情報でなければ、契約で法律上の要件を上書きして緩和し、過度な義務を相手に負わせることはできない上、とくに非公知性・有用性の2つを立証することは相当難しいものです。
企業間取引を進める上で、ある種「ビジネスマナー」のように「締結するのが当たり前」となっているとも言えるNDAですが、NDAだけに依存せず、実効性のある秘密管理の手法を検討することこそが重要だと言えるでしょう。
実効性のあるNDAを締結するために気をつけるべきポイント
「NDAさえ締結しておけば、万が一自社の秘密情報が流出しても訴訟を起こせば問題ないだろう」と思いがちですが、以下でご紹介するポイントを押さえて、実際に取り組まなければNDAの実効性を担保することは難しいです。実効性のあるNDAを締結するために気をつけるべきポイントを確認しておきましょう。
秘密情報の管理体制を必要に応じて見直す
まずは、NDAだけに頼らない実効的な秘密情報の管理体制を構築することが重要です。たとえば、社内で利用しているシステムのセキュリティレベルを上げたり、社内情報であっても特定の社員しか情報にアクセスできないようしたりする等、運用面も含めて見直す必要があるでしょう。
社内理解を深める
見落としがちな部分ではありますが、社内に向けてNDAの役割や秘密情報の定義等を周知し、教育を行うことも重要です。取引先とNDAを締結できたとしても、そもそものNDAの内容が社内で理解されていなければ、形骸化したNDAになってしまいます。
また、社内理解にバラツキがあると、事業部の担当者側と契約書をレビューする法務部の担当者側でNDAの内容を擦り合わせる際にも双方の認識に齟齬が生まれやすくなります。実効性のあるNDAを締結するために、定期的に社内での教育の機会を設けるのがよいでしょう。
実効性のあるNDAを実現するなら専門家に相談を
「NDAは意味がない」と言われる背景と、実効性のあるNDAを締結するためのポイントを解説してきました。
NDAを締結しておけば、万が一取引先から情報が流出した場合に、契約違反として損害賠償請求をすることが可能です。一方で、現状の企業間NDAに関する判例を確認する限りでは、漏洩させた情報が秘密情報に当たるのかや損害額がいくらになるかについては裁判上争いになることが多く、立証はかなり困難なものとなっています。
しかし、現代ではNDAを締結する行為は取引相手との信頼関係を築く上でのいわば「ビジネスマナー」にもなっており、書面として明確に記録に残しておくことは秘密情報の第三者への無断開示や目的外の利用を防止するための一定の抑止力にはなり得るでしょう。
また、NDAは「締結さえできれば良し」とされがちですが、実際には秘密情報の管理体制の構築やNDAに対する社内での理解度を深めることも重要です。
実効性のあるNDAを実現するためには、自社だけに閉じず、各分野の専門家の力を借りて現状の課題を解決していくことが求められるでしょう。
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