電子契約の運用ノウハウ

なぜ今「人事労務に電子契約」か?雇用契約を電子化するメリットと実務的Q&Aを解説

人口減少の影響で、業種業界を問わず多くの企業で人材不足が慢性的な問題となっています。2019年4月以降、段階的に施行されている「働き方改革関連法」では、労働時間の上限や有給取得の義務が定められており、一人当たりの生産性向上も求められています。

そのような状況において、企業の人事労務部門は、採用から育成、異動配置、評価まで幅広い業務を担当しており、企業経営の要とも言えるでしょう。そこで現在注目されているのが、企業の人事労務部門の業務効率化です。

本記事では、人事労務において電子契約システムを導入するメリットや電子化可能な書類の紹介のほか、人事労務担当者の方に向けた実務的なQ&Aも掲載いたします。業務効率化を検討されている人事労務担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

クラウドサイン導入済企業における人事労務領域の状況

昨今のビジネスにおいては、DX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進展しており、その一環として、人事労務領域でも電子化が進んでいます。

実際に、当社の提供する電子契約システム「クラウドサイン」を導入した企業が最初に電子化した書類のランキングでは「雇用契約書」が4番目に位置する結果となりました。

最初に電子化した契約書

※2022年4月1日~2023年6月30日までにクラウドサインを導入されたお客様67社の独自調査結果(複数回答可)

電子契約を導入することで、従来の紙ベースの契約書類を電子化し、効率的かつ迅速に取引を完了することができます。人事労務領域においても、雇用契約書や労働条件通知書をはじめとする契約書類を電子化することで、採用業務や労務管理などさまざまな業務を抱える人事労務担当者の業務効率化を期待できるでしょう。

人事労務領域において電子契約が注目されている背景

人事労務領域において電子契約が注目されている背景には、まず2019年4月から労働条件通知書の電磁的方法による提供が認められることになったという規制緩和の影響が挙げられます。従来の書面交付義務が緩和されたことで、入社時に必ず交付が必要な労働条件通知書を電子契約でも交付できるようになり、利便性が向上しました。

次に、採用業務における業務効率化の需要増も挙げられます。とくに全国に拠点(店舗)を持っている、雇用契約件数が比較的多い企業の場合、スタッフとの雇用契約を紙の書類で締結するとなると、事務作業に膨大な時間が取られるため、書類の電子化が業務効率に寄与する影響は小さくありません。

また、雇用契約書や労働条件通知書といった雇用に関わる書類は企業と従業員との間で交わされるため、社内のみで完結します。そのため、人事労務領域で必要な書類が電子契約の導入時にスモールスタートしやすい点も一因として考えられます。

昨今の業務環境は多様化しており、従来のフルタイム正社員の労働契約だけでは対応しきれない業務委託や兼業、リモートワークなど企業はさまざまな契約形態に対応する必要に迫られています。

書面の電子化により、遠方の従業員との契約締結をオンラインで完結できる上、クラウド上でいつでも書面を確認できるというメリットも電子契約への注目を後押ししていると言えるでしょう。

電子化できる人事労務領域における書類の例

人事労務領域で電子化できる代表的な書類としては、雇用契約書や労働条件通知書といった入社時に締結する書類を含む以下の書類が挙げられます。

【電子化できる人事労務領域における書類の例】

  • 雇用契約書
  • (雇用契約書 兼)労働条件通知書
  • 入社時/退職時の誓約書
  • 入社時の個人情報の取り扱いに関する同意書
  • 休職通知書

これらの書類は、企業と従業員との関係を明確化する上で重要な役割を果たしています。電子契約システムを導入することで、人事労務書類を効率的に作成し、保管できるようになります。

また、電子契約システムと聞くと「契約書しか電子化できないのでは?」と疑問を抱く方も少なくありませんが、実際には誓約書や同意書、通知書といった契約書以外の書類も電子化の対象になります。電子契約を導入する際は電子化したい書類をまずリストアップするところからはじめるのがよいでしょう。

雇用契約書や労働条件通知書を電子化するメリット

前述した通り、電子化できる人事労務書類は複数挙げられますが、ここでは最も電子化の対象となりやすい雇用契約書や(雇用契約 兼)労働条件通知書を電子化するメリットを確認しておきましょう。

作業時間の短縮

従来の紙ベースの契約書類は、作成や印刷に時間がかかりますが、電子契約システムを使用することで、作業時間を大幅に短縮することができます。契約書のテンプレートを用意しておき、必要な情報を入力するだけで簡単に作成できます。

リードタイムの短縮

従来の紙ベースの契約書類の場合、取引相手や従業員が直接来社するか、郵送により提出する必要があるため、リードタイムが発生します。しかし、電子契約システムを使用することで、オンライン上で契約を行うことができ、リードタイムを大幅に短縮することができます。

書類管理の効率化

紙ベースの契約書類は、保管や検索が煩雑な上、物理的な保管場所を確保する必要があります。しかし、電子契約システムを使用することで、契約書類をクラウド上で一元管理することができます。必要な書類をいつでも簡単に検索・閲覧することができ、保管場所の節約にも繋がります。

人事労務担当者の方に向けた実務的なQ&A

クラウドサインは法的に有効な電子契約サービスですか?

クラウドサインは日本で初めて主務官庁(総務省・法務省・経済産業省。なお2021年10月よりデジタル庁に移管)によって電子署名法上の「電子署名」に該当することが確認された、クラウド型電子署名サービスです。

電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)とは、電子文書に施される電子署名の法的効力と、それが認められる水準等を規定した法律です。

電子契約・電子署名の法律上の有効性について知りたい方は「電子署名の法的な有効性に関する政府見解とは?デジタル庁の「電子契約サービスQ&A」から解説」もご一読ください。

実際に人事労務の領域で契約書を電子化した事例はありますか?

はい、多くの企業が人事労務の領域で契約書を電子化しています。特にクラウドサインを導入した企業では、従業員の雇用契約や労働条件通知書など、重要な書類を電子化して効率化を図っています。

人事労務領域における導入事例を知りたい方はクラウドサイン公式サイトにある「雇用・入社手続の効率化|導入事例」をご一読ください。

労働条件通知書を電子化する際の注意点はありますか?

労働条件通知書を電子化する場合、通知書の送付先である労働者が書面ではなく電子ファイルによる交付を希望することが前提になります。本人の同意を得ず、一方的に電子メール等で通知書を送る行為は労働基準関連法令違反となる点に注意してください。

実際の実務運用としては、人事担当者が内定段階で労働者に対し「電子メールで送りますか?書面で送りますか?」と確認するのがよいでしょう。

改正労働基準法施行規則に定められた電子化の要件を詳しく知りたい方は「労働条件通知書の電子化がついに解禁—労働基準法施行規則の改正ポイント」をご一読ください。

入社時の誓約書は電子化できますか?

現在、入社書類は全て電子化が可能になっているため、入社時の誓約書(秘密保持誓約書等)も電子化することができます。入社時だけではなく従業員が退職する際の競業避止義務や秘密保持義務を課した誓約書も同様に電子化可能です。

複数の被雇用者向けに一括で送信することはできますか?

はい、電子契約システムを使用することで、複数の被雇用者に対して契約書類を一括送信することができます。システム上で一括送信の対象となる従業員を選択し、契約書を一度に送信できるため、効率的な送付と従業員の迅速な確認を促すことができます。

クラウドサインの場合には、一括送信機能(有料プランに搭載)を使うことで複数の帳票を一括で作成し、それらを複数の従業員に対して一括で送信することが可能です。類似の契約を多くの相手先と締結する場面において、手作業で大量の書類を作成、送信する手間が省けます。

「Word版 労働条件通知書 兼 雇用契約書ひな形ファイル」を無料公開中

クラウドサインでは、厚生労働省による労働条件通知書ひな形をベースとして、

  • 労働条件通知書電子化の要件を満たしつつ
  • 労働者と雇用契約を締結した証拠を確保できる

書式として作成した「労働条件通知書兼雇用契約書ひな形」のWordファイルを作成しました。令和6年4月からの労働条件明示ルール改正にも対応したひな形となっています。

下記リンク先フォームから無料でダウンロードできるため、労働(雇用)契約の締結に今すぐ使えるWord形式のひな形をお探しの方はご活用ください。

労働条件通知書兼雇用契約書
ひな形無料ダウンロード
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クラウドサインでは従業員との労働(雇用)契約を電子契約サービスで締結する際の契約書のひな形を作成しました。労働(雇用)契約の締結に今すぐ使えるWord形式のひな形をお探しの方はダウンロードしてご活用ください。

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