雇用契約書とは?労働条件通知書との違いや書き方と記載項目を解説
本記事では新しいスタッフが入社する際や契約更新の時期に締結する雇用契約について解説します。雇用契約書の意味や役割、労働条件通知書との違いや記載項目も紹介しますので、雇用契約の締結を担当している方はぜひ参考にしてみてください。
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雇用契約書とは
雇用契約書とは、企業(雇用主)と労働者の間で締結される契約書です。法的効力を持つため、双方が契約内容に従うことが求められます。雇用契約書は雇用関係における重要事項を明確にし、双方の権利と義務を規定する役割を果たします。
なお、民法の「契約の形式自由の原則」により、必ずしも企業(雇用主)と労働者の双方が文書としての雇用契約書を締結する必要はないため、企業(雇用主)側に作成の義務はありません。しかし、労働者との間で雇用条件や報酬に関して疑問や紛争が生じた場合には雇用契約書が解決の手がかりとなるため、「言った」「言わない」のトラブルを防ぐためにも作成するのが一般的です。
雇用契約書をもらうタイミング
雇用契約書をもらうタイミングは一般的に内定日や入社日が多い傾向があります。前述した通り、雇用契約書は法的に作成が義務付けられている書類ではありませんが、内定日または入社日に人事担当者から渡されるケースがほとんどです。
なお、有期労働契約の場合は雇用期間が一定期間定められており、雇用契約の更新はその期間が満了する前のタイミングで対応することが一般的です。雇用契約の更新については下記の記事も参考にしてみてください。
労働条件通知書との違い
雇用契約書と労働条件通知書の違いは、主に以下の4点です。
【雇用契約書と労働条件通知書の違い】
雇用契約書 | 労働条件通知書 | |
企業(雇用主)側の作成の義務 | 法的な義務はない | 書面・電子メール等による交付・送信で明示することが法的に義務付けられている |
記載項目 | 法的に定められた記載項目はない | 法的に定められた記載項目がある |
締結時期 | 雇用関係の開始時 | 雇用前や契約更新時 |
締結・交付の方法 | 企業と労働者との双方で締結 | 企業から労働者に対して一方的に交付 |
雇用契約書と労働条件通知書は、どちらも雇用関係における重要な書類ですが、大きな違いとして企業(雇用主)に作成の義務があるかどうかが挙げられます。雇用契約書が法的には締結・作成が必須ではないのに対して、労働条件通知書は、企業(雇用主)が書面または電子メール等により交付・送信する方法で明示することが法律で義務付けられています。
労働基準法第15条1項および同施行規則第5条に基づいて、労働条件のうち一定の事項について企業から労働者に通知することで、労働者が重要な労働条件を理解した上で雇用契約を締結できるようにするのがその目的となります。この義務には、違反した際の罰則もあります(労働基準法第120条1項)。
また、雇用契約書には雇用条件や報酬、福利厚生、機密保持など、雇用に関する幅広い事項が規定されますが、記載項目は法的に定められていません。一方、労働条件通知書には法的に義務付けられている労働条件に関する情報を明示する必要があります。
労働条件通知書の記載項目は労働基準法第15条第1項及び労働基準法施行規則第5条第1項に規定されており、必ず明示しなければいけない「絶対的明示事項」と該当する制度を設けている場合にのみ明示する「相対的明示事項」の2種類に分かれます。労働条件通知書の記載項目を確認したい方は厚生労働省の公式サイトにある「よくある質問」をご一読ください。
なお、雇用契約書と労働条件通知書は別々に交付する他に、「労働条件通知書 兼 雇用契約書」として一体の文書としてまとめて交付することも可能です。その場合には、記載項目として労働条件通知書の「絶対的明示事項」を含める必要があります。具体的なやり方やひな形の入手方法を知りたい方は「労働条件通知書 兼 雇用契約書」を電子化する方法【Word版ひな形ダウンロード付】」も参考にしてみてください。
雇用契約書の一般的な記載項目
前述の通り、雇用契約書には法的に定められた記載項目はありません。ここでは、一般的に雇用契約書に記載されることの多い項目を表にまとめましたので、雇用契約書を作成する際は参考にしてみてください。
【雇用契約書の一般的な記載項目】
記載項目の種類 | 概要 |
雇用期間 | 雇用の開始日と終了日、もしくは期間の記載 |
試用期間 |
入社後、労働者を正社員として本採用するまでに、職業能力や企業適応性を見るために設けられた期間 |
雇用形態 | 正社員、契約社員、パートタイムなど、雇用の形態を明示 |
勤務地 | 勤務場所や転勤の可能性など、勤務に関する場所についての情報 |
勤務時間 | 出勤時間、休憩時間、残業に関するルールなど、勤務時間についての明確な規定 |
賃金・報酬 | 基本給、ボーナス、手当など、報酬に関する情報 |
休暇・休業 | 有給休暇、特別休暇、年次有給休暇など、休暇や休業に関するルール |
雇用契約書は労働者と雇用主の権利と義務を保護し、双方が納得した上で雇用関係を築くために重要です。上記の項目を適切に明示し、法的に正確かつ明確な雇用契約書を準備しましょう。
また、試用期間を設ける場合、求人票や募集要項において、試用期間があることや、試用期間中の労働条件を明示することが職業安定法により義務付けられているため、試用期間を設ける場合には注意しましょう(参考:「雇用契約書に試用期間の記載は必要?気をつけるべきポイントを解説」)。
なお、雇用契約書に印鑑を押すことは法的に必要ではありません。印鑑の必要性について詳しく知りたい方は「雇用契約書に印鑑は必要か?押印義務の有無を解説」もあわせてご一読ください。
雇用契約書は電子契約で締結できる
近年、電子契約の普及により、雇用契約書の締結もオンライン上で行われることが増えています。従来の紙文書と比べて、電子契約は効率的で迅速なプロセスを提供し、手間と時間を大幅に削減できます。
実際に、当社の運営する電子契約サービス「クラウドサイン」でも、雇用契約書を電子化し業務効率化に成功した事例が多数あります。雇用契約書を電子化した導入事例を知りたい方はクラウドサインの公式サイトにある「雇用契約書の導入事例」も参考にしてみてください。
また、雇用契約書を電子化する具体的な方法やポイント、注意点を知りたい方は「雇用契約は電子契約で締結できる?メリットや事例を解説【Word版ひな形ダウンロード付】」もご一読ください。
雇用契約書を電子化するメリット
雇用契約書を電子化することでさまざまなメリットを享受できます。以下にその一部をご紹介します。
コストを削減できる
雇用契約書を電子化することで、雇用契約の締結業務をオンラインで完結できるようになるため、従来の紙の書類で必ず発生していた印刷や製本、郵送などにかかるコストやそれらにかかっていた人件費を削減できます。事務作業がなくなることで、契約書のレビューや社内外とのミーティング等、メインの実務に時間を割けるようになるのもメリットのひとつです。
契約締結までのリードタイムを短縮できる
紙による契約締結では契約書を相手方に送付して戻ってくるまでに約1週間前後かかる傾向がありますが、電子契約の場合はオンラインで瞬時に電子ファイルを届けられるため、契約締結までのリードタイムを短縮できます。
今まで数日かかっていた契約作業をわずか数分で終えることができるため、契約締結がスピードアップすれば、相手方とのコミュニケーションもよりスムーズになるでしょう。
文書管理を効率化できる
雇用契約書を電子化することで、過去の契約書を確認したい場合にも書類や契約相手の名前、締結日などから契約内容を容易に検索できます。従来の紙の契約のようにわざわざ倉庫に移動して手作業で契約書を探す手間もかかりませんし、「ファイリングした契約書を日付順にキャビネットに保管する」というような一連の保管作業も不要です。
コンプライアンスを強化できる
雇用契約書を電子化するにあたって電子契約サービスを利用する場合には、契約内容に応じてアカウントの閲覧権限を設定できるため、雇用契約に無関係な社内のメンバーがスタッフの雇用条件を確認できてしまうといった不備を避けられます。契約書を書き換えたり、流出させたりといった不正行為も防げるので、コンプライアンスの強化を期待できます。
雇用契約書の電子化で採用業務の効率化を
最近では、電子契約サービスを利用して雇用契約書を電子化する企業が増えています。雇用契約書の電子化は、契約書の作成や送付、署名といった採用プロセスが迅速化し、採用業務の効率化を実現できるため、人事部門や採用担当者にとって大きなメリットをもたらします。
当社の運営する「クラウドサイン」は、雇用契約書の電子化に対応したクラウド型の電子契約サービスです。導入社数250万社以上、累計送信件数 1000万件超の国内シェアNo1の電子契約サービスとして、業界業種問わず多くの方にご利用いただいております。
クラウドサインのような電子契約サービスを導入することで、電子署名を電子ファイルに施し、スピーディーかつ安全に当事者間の合意の証拠を残すことが可能になります。日々の採用業務を効率化したい方はぜひ電子契約サービスを導入し、雇用契約書を電子しましょう。
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