電子署名の有効期限はいつ?期限がある理由と延長方法も解説
契約書の電子化を検討している方の中には、電子ファイルに付与する電子署名の有効期限がいつ切れるのか気になる方もいるでしょう。当記事では、電子署名の有効期限がいつなのかを解説します。電子署名に有効期限が定められている理由も解説しますので、電子署名の理解を深めたい方は参考にしてみてください。
電子署名に有効期限が定められている理由
電子署名に有効期限が定められているのは、電子署名の技術を実現するための暗号アルゴリズムが破られるリスクがあるからです。
時間の経過とともに技術が発展することで、暗号アルゴリズムの安全性レベルが低下し、暗号アルゴリズムを組み込んだシステムなどの安全性は脅かされます。このような状況は専門用語で「アルゴリズムの危殆化(きたいか)」とも呼ばれています。
暗号アルゴリズムを破られることで、契約書などの電子ファイルが改ざんされる可能性もあるため、アルゴリズムの危殆化を防ぐためにはメンテナンスが必要ということになります。
なお、そもそも電子署名とはどのような技術なのかを確認したい方は「電子署名とは?役割や導入のメリットをわかりやすく解説」も参考にしてみてください。
電子契約ではアルゴリズムの危殆化リスクを「長期署名」で対応している
電子契約では、アルゴリズムの危殆化リスクを考慮して電子署名で用いる電子証明書に有効期限を定めています。
電子証明書とは、電子契約に用いられた電子署名が本人によって行われたことを証明するために、認証機関等が発行する電子的な証明書のことです(参考記事:「電子証明書の電子契約における役割と機能—電子証明書の有効期間と電子署名の有効性」)。
電子証明書の有効期限は、電子署名法施行規則6条4項により「五年を超えないものであること」と定められており、一般的には2〜3年の有効期限であることがほとんどです。有効期限が切れると電子証明書が失効状態となるため、電子署名の本人性やファイル改変の有無の確認ができなくなり、電子署名本来の効果を果たせなくなってしまいます。
そこで、電子証明書の有効期限の問題を解決するために開発されたのが「長期署名」というフォーマットです。長期署名とは、当初の電子署名に使われた暗号アルゴリズムが危殆化する前に、その時点での最新の暗号技術を用いたタイムスタンプを付与し暗号を掛け直すことで、電子署名の効果を延長するものをいいます。
なお、このタイムスタンプにも最長10年の有効期限が定められていますが、長期署名のしくみにより有効期限が切れる前にタイムスタンプを付与し直すことで、期限を延長するようになっています。
このような電子署名の効力を延長する長期署名を施す方法は「PAdES(PDF Advanced Electronic Signatures)」方式と呼ばれ、国際標準規格化されています。長期署名のしくみをより詳しく知りたい方は「電子契約と電子署名の有効期限を延長する「長期署名」の仕組み」も参考にしてみてください。
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弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部
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