電子契約の運用ノウハウ

製造業における電子契約導入のメリットとは?事例を交えて解説

さまざまな製品・サービスを取引する場面の多い製造業では、書類管理や契約業務の効率化が課題のひとつとして挙げられます。この課題を解決する手段のひとつとして、昨今電子契約の導入を検討する企業が増えています。

電子契約とは、インターネット等の情報通信技術を利用し、電子ファイルに対して電子データ(電子署名・タイムスタンプ等)を記録して締結する契約を可能にする仕組みです。

本記事では、製造業で電子契約サービスを導入する3つのメリットや、製造業で締結することが多い契約の種類を解説します。

製造業における電子契約の導入事例もあわせて解説しますので、電子契約の導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

製造業で電子契約を導入する3つのメリット

製造業において電子契約を導入するメリットとして、契約締結までのリードタイム短縮、コスト削減、契約管理の効率化の3つが挙げられます。それぞれの項目を確認しておきましょう。

契約締結までのリードタイム短縮

製造業界では、クライアントや仕入先との間で頻繁に契約締結業務が発生するため、発注から納品までのスケジュールがタイトであることも少なくありません。

 

電子契約を導入すれば時間、場所を問わず契約締結が可能に

電子契約を導入することで、発注書などの契約締結を即時または即日で行うことが可能になり、契約締結までのリードタイムを大幅に短縮できます。これにより、スムーズな業務遂行に貢献することが期待できます。

契約周りの業務コストの削減

従来の紙の契約書による手続きでは、印刷、記名押印、郵送といった多くの業務とそれに伴うコストが発生していました。

特に、数十〜百枚に及ぶ契約書類や製品仕様に関する書類の郵送・管理には、 相当なコストがかかっていました。電子契約を導入することで、これらの印刷、郵送のコストを削減し、契約周りの業務コストを最小限に抑えることができます。

電子契約の導入による契約書業務の効率化も実現可能

さらに、請負に関する契約書を紙で発行する場合には収入印紙の貼付が必要となりますが、電子契約を利用すれば印紙税が課税されないため、大幅な印紙代の削減が可能です。

電子契約で収入印紙が不要となる理由については、関連する通達と税務当局の見解によって裏付けられています。詳しく知りたい方は下記の記事もご一読ください。

契約管理の効率化

製造業では、多種多様な契約書や関連書類が発生しますが、紙媒体での管理は煩雑になりやすく、紛失や改ざんのリスクも伴います。

電子契約サービスを導入することで、紙の契約書も電子契約も一元的に管理できるようになり、契約管理の効率化を実現できます。

紙の書類の管理は煩雑なため、電子化のメリットは大きい

製造業のビジネスにおいて、契約は締結して終わりではなく、契約後も取引先との取引内容や支払条件などを確認する必要が生じる場合があります。電子契約を導入すれば、過去に締結した契約内容をクラウド上で迅速に検索し、PDFデータとして出力して相手方に提示することができます。

製造業でよく締結する書類

製造業では、営業活動から納品までの様々な業務プロセスにおいて、多岐にわたる契約や関連書類が締結・確認されます。とくに、下記のような契約類型や関連書類の締結・確認が発生するケースが多いです。

  • NDA(秘密保持契約書)
  • 取引基本契約書(売買基本契約書)
  • 受注関連書類(発注書/請書、納品書、検収書)
  • 製造委託契約書(業務委託契約書)
  • 製造請負契約書
  • 生産提携契約書(OEM契約書、ODM契約書)

ここでは、代表的な書類を解説するので、確認しておきましょう。

なお、今回製造業でよく締結する書類として取り上げているものは全て電子契約サービスで締結可能ですが、一部には締結できない書類もあります。電子契約できる書類とできない書類を確認したい方は下記記事も確認しておきましょう。

NDA(秘密保持契約書)

新規クライアントとの商談や受注生産におけるヒアリング、計画策定の前に、顧客の機密情報を開示してもらう必要がある場合に締結される契約です。

本格的な提案を始める前に迅速な締結が求められることが多いため、電子契約を利用することで取引を早く開始することができます。

NDAについて詳しく知りたい方は下記記事も参考にしてみてください。

取引基本契約書(または売買基本契約書)

新規のクライアントとの売買取引や、原材料の仕入先との間で仕入取引を開始する場合に、個別の取引に共通して適用されるルールを定めるために締結される契約です。

売買契約特有の項目を追加した契約書の場合には、売買基本契約と呼ばれます。締結により、継続的な取引先との決め事を毎回協議・交渉する必要がなくなり、迅速な取引開始と簡便化が図れます。

受注関連書類(発注書/発注請書、納品書、検収書)

製造業においては、製品の受発注や納品、検収といった各段階に応じた書類を発行します。とくに代表的な書類は発注書・発注請書、納品書、検収書です。

書類名 概要 当ブログの関連記事
発注書/発注請書 クライアントからの発注を受け、
製造会社がその内容を承諾する意思表示として発行する書類
https://www.cloudsign.jp/media/purchase-order-sheet/

 

https://www.cloudsign.jp/media/20170529-purchase-order/

納品書 製品をクライアントに納品する際に、製造会社が発行する書類
検収書 納品された製品の品質や数量などをクライアントが確認し、
受け入れたことを証明する書類
https://www.cloudsign.jp/media/acceptance-letter/

いずれの書類も、電子契約サービスで締結・確認が可能です。受注関連書類においても、紙の書類を電子化することで紛失や双方の「送った・送られていない」という認識の齟齬を防ぐことができるうえ、ペーパーレス化による業務効率化を期待できます。

とくに、受注関連書類は定期的に発行するケースが多いため、効率化による効果を実感しやすいでしょう。

製造委託契約書

製造委託契約書は、発注側が製造会社に対して、自社製品の製造・供給を委託する際に締結する契約です。両社の権利と義務を明確にし、トラブルを未然に防ぐために締結します。

製品の仕様や納品・検収方法など、製造業における重要な要素を定める契約書になるため、電子契約によって締結した契約書類を安全に保存・保管しておくのがよいでしょう。

製造請負契約書

製造業における生産プロセスは多岐にわたりますが、全工程を自社内で完結させるには多大なリソースを要します。そこで活用されているのが「製造請負契約」です。外部の専門業者と製造請負契約を締結し、生産プロセスの一部または全てを委託することで、自社のリソースを効率的に活用できます。

製造請負契約書を電子契約で締結すると、従来の紙書類よりも迅速に締結できるため、少しでも契約のリードタイムを短縮したい繁忙期には非常に有効です。

請負契約書について知りたい方は下記記事もご一読ください。

生産提携契約書(OEM契約書、ODM契約書)

生産者が自社ブランド製品の製造を委託する際に締結する契約です。生産提携契約書には、OEM契約書とODM契約書があります。

  • OEM契約書: 製造会社がクライアントの要望通りに製造した製品を供給する契約
  • ODM契約書 製造会社が開発から生産まで行った商品を、クライアントが自社ブランドとして販売する契約

生産提携契約書を締結する際には、製品の仕様・品質、製品に関する知的財産権の帰属や利用範囲、製品の欠陥や不具合に対する責任、損害賠償の範囲など、自社製品に関わる重要な項目を両者間で十分に協議し、明確に定める必要があります。

万が一製品に血管や不具合が生じた際には、過去に締結した契約書を確認する必要があります。生産提携契約を電子契約サービスで締結することで、過去の契約を迅速に見つけ出しやすくなるメリットがあります。

また、クラウド上に契約書を保管しておけば「当時の担当者が退職してしまい契約の詳細がわからなくなった」「契約書を紛失してしまった」という不測の事態にも備えられるでしょう。

製造業における電子契約導入事例

当社の提供する電子契約サービス「クラウドサイン」を例に、製造業で実際に電子契約を導入した事例をご紹介します。製造業におけるDX化、ペーパーレス化をご検討の方は、ぜひ自社で電子契約サービスを導入する際の参考にしてみてください。

100年企業のDXの一手に電子契約(江崎グリコ株式会社)

江崎グリコ株式会社はDX推進の一環で2020年にクラウドサインを導入し、ペーパーレス化と契約業務の効率化を図りました。この背景には紙契約の課題やコロナ禍でのニーズ、電子署名の法的有効性があり、クラウドサインは安全性や認知度、使いやすさから選定されました。

同社では、主に以下の書類の締結業務で電子契約サービス「クラウドサイン」を活用しています。

  • 業務委託契約
  • 秘密保持契約
  • 販売代理店契約
  • 購買基本契約
  • 雇用契約

クラウドサイン導入により得られた主な効果は次の通りです。

得られた効果
・雇用契約でほぼ100%の電子化を達成し、法務部が扱う契約でも約62%を電子化
・クラウドサインの導入により契約締結のスピードが大幅に向上。特に複数企業が関わる契約では劇的な時間短縮を実現

電子契約サービスをはじめて利用する場合、社内利用が定着するかどうかという課題もありますが、同社では社内からの問い合わせは少なく、一度利用した社員は継続して利用する傾向があることもわかっています。

「クラウドサインの使い方がわからないという声は最初の段階からほとんどありませんでした。一度使ってもらった後はその後も続けて利用してもらえますし、朝のうちに契約書を送信しておいたら、その日の午後には締結が完了していることもあって、「本当にスピーディですね」という声を社内でよくいただきます」(小山様談)

▼江崎グリコ株式会社の詳しいインタビュー内容はこちら
100年企業のDXの一手に電子契約。地道な普及活動と改善の繰り返しが実を結ぶ

自動車メーカーでも着実に進む電子化(トヨタ車体株式会社)

トヨタ車体株式会社は、働き方改革と契約締結・管理の効率化を目指し、2021年度にクラウドサインを導入しました。導入の決め手は、先行導入していたグループ会社の推奨、国内での高いシェア、そして初期・運用コストの低さでした。

同社では、主に以下の書類の締結業務で電子契約サービス「クラウドサイン」を活用しています。

  • 秘密保持契約
  • 業務委託契約
  • 開発委託契約

クラウドサイン導入により得られた主な効果は次の通りです。

得られた効果

・紙の契約では平均2週間かかっていた契約締結までのリードタイムが2〜3日に短縮
・クラウドサイン上で契約締結のステータスが明確になり、進捗管理が容易に

クラウドサイン導入後、社内からも電子契約に対してポジティブな意見が届いたそうです。

「印紙の取り寄せや社印申請の必要がなくなったこと、先方との郵送による書類のやり取りが不要になったことなどは大きなメリットとして感じられているようです」(堀様談)

「自動車業界では電子契約が広く活用されているとはまだ言いがたい状況ですが、今後は世の中の流れに合わせて電子化がどんどん進んでいくはずですから、今のうちに電子契約を導入しておきたいですよね」(山川様談)

▼トヨタ車体株式会社の詳しいインタビュー内容はこちら
自動車メーカーでも着実に進む電子化。クラウドサインの初期・運用コストの低さに着目

製造業における業務効率化を実現するなら電子契約サービスの検討を

製造業が直面する課題を解決し、業務効率化を進めたい場合には、電子契約サービスを検討してみてはいかがでしょうか。

クラウドサインは導入社数250万社以上、累計送信件数1000万件超の実績を持つ電子契約サービスです。「どのように導入するのが良いかわからない」「社内で承認を得るためにどうしたらいいかわからない」といった導入時によくいただくお悩みを解決するサポートも充実しています。

なお、クラウドサインでは契約書の電子化を検討している方に向けた資料「電子契約の始め方完全ガイド」も用意しています。電子契約を社内導入するための手順やよくある質問をまとめていますので、電子契約サービスの導入を検討している方は以下のリンクからダウンロードしてご活用ください。

「電子契約の始め方完全ガイド」
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クラウドサインではこれから電子契約サービスを検討する方に向けた「電子契約の始め方完全ガイド」をご用意しました。電子契約サービスの導入を検討している方はダウンロードしてご活用ください。

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弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部

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