契約書管理とは?管理する上でのポイントやシステム導入のメリットを解説
契約書管理は、企業にとって重要な業務の一環です。契約書を適切に管理せず、キャビネット等が整理されていない状態では業務効率が低下するだけでなく、機密情報の漏えいやトラブルの原因となる可能性も考えられます。
さらに、契約書の量が増えるにつれて管理上の課題も増加するため、適切な管理方法や管理システムの導入が求められます。本記事では、契約書管理の重要性に焦点を当て、効果的な管理のポイントやシステム導入のメリットを詳しく解説していきます。
契約書管理とは
契約書管理とは「契約書の書類本体と、契約書の記載内容(契約内容や期日、禁止事項など)の情報を管理すること」を意味します。
企業が締結する契約書には、秘密保持契約書、売買契約書、業務委託契約書、雇用契約書など多岐にわたる上、契約ごとに取引内容や禁止事項、対応期限などさまざまな項目が定められています。これらの契約書とその内容を適切に把握し、活用・保管するのが契約書管理です。
契約書をずさんに管理していると、情報漏洩や行政からのペナルティを受けるなどのさまざまな弊害が生じ、企業活動の存続が危うくなるリスクがあります。そのため、企業は契約書やその内容を正確に管理・把握することが求められます。
契約書管理は、法令やビジネス上の慣行に沿って、契約書が信頼できるかどうかのチェックやドラフト作成を行うためにも必要な業務と言えるでしょう。
契約書管理がずさんな場合に起こりうるリスク
- 機密情報の漏洩
- 業務効率の低下
- 顧客や取引先からの信頼低下
- 法令違反や訴訟リスクの高まり
ここではこれらの代表的な4つのリスクをおさえておきましょう。
機密情報の漏洩
契約書にアクセスできる人物を制限し管理するいわゆる「閲覧管理」の機能や、ドキュメントの盗難を防止するセキュリティ対策が不十分な場合、契約書に含まれる機密情報が漏洩するリスクが高まります。
契約書には、取引条件や機密情報が詳細に記載されており、不正アクセスや盗難が発生すると企業や個人に深刻な影響を及ぼす可能性があります。従って、契約書を紙で管理する場合には、倉庫やキャビネットの利用者を制限したり、電子化する場合にはアクセス権の厳格な制限や二要素認証などのセキュリティ対策を施したりといった対応が重要です。
また、契約書管理にクラウドストレージやデータベースを利用する際には、信頼できるサービスを選択し、適切なアクセス権限を設定する必要があります。適切なセキュリティ対策を講じることで情報漏洩リスクを最小限に抑えるように留意しましょう。
業務効率の低下
契約書が一元管理されていなかったり、契約管理台帳の更新が滞っていたりと管理体制がずさんな場合には業務効率が低下してしまう可能性があります。
また、契約書がバラバラに管理されていると、必要な情報を素早く見つけるのが難しく、取引先とのコミュニケーションや業務の円滑な進行が妨げられる可能性があります。
一方、契約書を一元管理し、わかりやすく一覧化された台帳を作成することで、必要な契約書や情報を簡単に把握し、迅速に対応することが可能です。一覧性があることで全体像を把握しやすくなるため、業務の効率化だけでなく、ヒューマンエラーのリスク低減も期待できるでしょう。
顧客や取引先からの信頼低下
契約書管理がずさんな場合、書類の保管場所を迅速に把握できず、必要な情報を確認するのにも時間がかかります。顧客や取引先からの書類に関する問い合わせ対応にも遅れが生じるため、信頼を損なう恐れもあるでしょう。
このような事態に陥らないためには、例えばデジタル化されたシステムを活用することで、必要な契約書類を瞬時に検索して確認できるようにするのも選択肢のひとつです。これにより、顧客や取引先からの問い合わせに即座に対応することができ、信頼関係を築くことができます。
つまり、適切な契約書管理は業務効率を向上させるだけでなく、企業としての信頼性を高める上でも重要な要素となります。そのため、企業は契約書管理の充実に努めることが不可欠と言えるでしょう。
法令違反や訴訟リスクの高まり
契約書の管理がずさんな場合、契約書の保管場所や内容を把握できないため、法令遵守や訴訟等のリスク管理が困難になります。例えば、契約の更新や解約期限を見逃してしまい、企業としての法的義務を怠ることもあり得るでしょう。
適切な契約書管理は、企業としての信頼性やビジネスの安定性に直結します。契約書は、取引先との約束事を明示する重要な文書であり、しっかり管理することで紛争やトラブルを未然に防ぐことができます。
契約書を管理・保存する際に押さえておきたいポイント
ここでは、契約書を管理・保存する際に押さえておきたいポイントを2点ご紹介します。社内の契約書管理方法を見直したい方は確認しておきましょう。
企業には契約書を7年間保存する義務が課せられている
法人税法により、企業が契約書を保存する義務のある期間は7年間に定められています(当該事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から起算)。注文書や見積書、請求書など、契約に付随して発生した証憑類も同様です。税務調査での提出に備えて、確実に保存するようにしましょう。
なお、国税庁の公式サイトによると、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、保存期間は10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。
契約書管理に関する法律上の義務について詳しく知りたい方は「企業が契約書を管理すべき4つの理由—契約書管理に関する法律上の義務まとめ」も参考にしてみてください。
「契約書管理」には複数の観点がある
一口に「契約書管理」と言っても、管理する上での観点は複数あります。以下では契約書管理をする上で押さえておきたい代表的な観点を解説します。
保管場所の管理
契約書ごとに、どのキャビネットやフォルダに保管すべきかを決め、必要な際に簡単に取り出せるように書類を整理する必要があります。
また、契約書を電子化して管理する場合には、電子帳簿保存法で定められた要件を満たす必要があります。この法律では、例えば「検索機能の確保」として以下3つの検索機能を備えたシステムを利用することが義務付けられています。
- 取引年月日その他の日付・取引金額・取引先が検索条件として設定できる
- 日付と金額については範囲指定して検索できる
- 2つ以上の項目を任意に組み合わせて検索できる
契約書の「データ保存」の要件を詳しく知りたい方は「電子帳簿保存法で定められた契約書の「データ保存」要件とは 適法な保管・保存方法を解説」も参考にしてみてください。
更新や解約時期の管理
更新や解約時期を適切に管理する必要もあります。更新対応の抜けや自動更新の放置といった問題を回避するためには、社内に存在する契約書の更新日を把握していることが欠かせません。更新や解約時期の管理を怠ると、必要な時に適切な条件や金額での取引ができなくなったり、支払い漏れが起きたりするなど何らかのリスクが高まることも考えられます。
契約書の更新日を把握するためには、更新日や解約時期のリマインド機能を備えた契約書管理システムを導入するのも選択肢のひとつになるでしょう。
アクセス権限の管理
契約書を保管する際、紙の場合は管理者が倉庫やキャビネットの鍵を管理し、電子データの場合は関係者のみが閲覧や編集可能となるようアクセス権限を設定する必要があります。契約書に関係のない人からの不必要なアクセスを防ぐため、厳重な管理が欠かせません。
また、組織の中で契約書管理の責任者となる部門や人物を選定し、契約書管理に関する体制構築を進めていくのも有効です。
代表的な契約書管理方法
契約書を管理する代表的な方法として、次の3つのパターンが挙げられます。
- Excelやスプレッドシートで契約書管理台帳を作成する
- (契約書に限定されない)文書管理システムを利用する
- クラウドによる契約書管理サービスを利用する
それぞれのパターンを確認しておきましょう。
Excelで契約書管理台帳を作成する
最もオーソドックスな契約書管理の方法として挙げられるのが、Excelのような表計算ソフトで契約書管理台帳を作成することです。具体的には、契約期間・契約金額・納期等の期日等、契約書内の主要項目をリスト化し、自社で保管している契約書を一元管理します。
Excelという普段使い慣れたソフトを利用するため、低コストで契約書を管理できる上、管理項目の設計・変更の自由度が高いというメリットがあります。一方で、専任担当者がいなければ契約期間・自動更新条項の管理がしにくいというデメリットもあるため、管理する契約書の件数や企業規模によっては別の手段を検討する必要もあるでしょう。
Excelによる契約書管理について詳しく知りたい方は「エクセルによる契約書管理—Microsoft Excelを使用した契約書管理台帳の作成方法と注意点」も参考にしてみてください。
文書管理システムを利用する
すでに社内で何らかの文書管理システムを利用している場合には、契約書も既存の文書管理システムで管理するのも選択肢のひとつです。契約書に限定せず、さまざまな文書が管理できるため、汎用性が高いというメリットがあります。
一方で、文書管理システムの場合には必ずしも契約書に特化した機能や必要項目が備えられているとは言えないため、管理を開始する前に文書管理システムの運営会社や担当部署と協力し、自社における契約書管理の課題を解決できるシステムにカスタマイズしていく必要があるでしょう。
電子契約サービスを利用する
スタートアップのような企業規模が比較的小さいフェーズでは、Excelによる契約書管理台帳で間に合わせるのが現実的ですが、法務担当者を設置し会社の内部統制の強化を図るフェーズでは心もとない場面も多々発生します。
企業規模・取引件数が拡大する前に、電子契約サービスを契約書管理のシステムとして積極的に活用し、契約マネジメントプラットフォームとしての活用フェーズへとステップアップするのも選択肢のひとつです。
昨今の電子契約サービスには、スキャナでPDF化した契約書の電子データを取り込み、システム内に保管できる機能を備えたものもあるため、紙と電子の一元管理を検討している企業にとっても電子契約サービスは最適な選択肢と言えるでしょう。
契約書の締結から管理まで一貫して効率化するなら電子契約サービス「クラウドサイン」
当社の提供する「クラウドサイン」は、電子署名を電子ファイルに施し、スピーディーかつ安全に契約の締結が可能な電子契約サービスです。契約書の締結だけでなく、管理システムとしても安心して利用いただけます。
例えば、クラウドサインの場合「書類情報」として「解約通知期限」又は「契約終了日」を設定することで、それらの日の1か月前に、クラウドサインの管理者宛にメールにて通知が来る機能を備えているため、Excelによる契約書管理台帳よりもより利便性の高い管理が可能になります。
なお、クラウドサインでは散在している紙の契約と電子の契約をどのように管理すればいいのか悩んでいる方に向けた資料を無料で提供しております。改正電帳法の要件へ対応するための、クラウドサインを利用した契約書一元管理の方法を詳しく解説していますので、契約書の管理方法にお悩みの方は下記のリンクからダウンロードしてご活用ください。
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