地方自治法施行規則の改正と電子署名の規制緩和
地方自治法施行規則の一部を改正する省令が公布、同日施行されました。この規制緩和により、地方自治体との契約に利用できる電子署名の種類が広がります。
地方自治体との契約に利用できる電子署名の要件が大幅緩和
地方自治法施行規則が2021年1月29日付で改正・施行され、自治体との契約締結で電子署名を用いる際の規制が大きく緩和されました。
これまで、厳格な本人確認を行なった上で発行された電子証明書を用いる電子署名でなれば、地方自治体と民間との契約書を電子化することはできませんでした。しかし今回、地方自治法234条5項から委任され施行規則12条の4の2に定められていた、厳格な電子証明書を要求する規定が、まるごと「[削る]」つまり削除に。
その結果、「電子署名法第2条第1項に定める電子署名」を用いれば、地方自治体との契約を電子化可能 となりました。
この規制緩和は、内閣府デジタルガバメントWGで東京都と茨城県からなされた要請に対し、地方自治法の主務官庁である総務省が2020年11月時点で見直しを予告していたものです(参考記事:「契約事務取扱規則」の改正によって実現する国と企業のクラウド型電子契約)。
使用すべき電子証明書を限定することで電子署名を規制していた地方自治法
これまでの地方自治体は、地方自治法と同施行規則により、一般に普及している電子契約サービスを利用して民間事業者と契約することができませんでした。
その理由は、「電子署名」にもとめる要件とは別に、その電子署名とセットで用いるべき「電子証明書」のレベルにいたるまで限定し規制していた ため。
電子署名法2条1項で定義される一般的な「電子署名」ではダメで、下図の赤矢印および緑矢印でポインティングした特別な電子証明書の添付が必要とされ、事実上電子署名の使用を強く阻んでいたのです。
今回改正された新しい施行規則では、この特別な電子証明書を利用するよう規定していた地方自治法施行規則 第12条の4の2 第2項自体がまるごと削除され(先の図の赤矢印・緑矢印のポインティングが消え)ています。
これにより、特別な電子証明書の必要なく、地方自治体との電子契約が締結できることとなった わけです。
こうして図式化すると、複雑な規制がどのように取り除かれ、シンプルになったかがおわかりいただけるかと思います。
電子証明書の限定が外れ、事業者署名型の電子署名も利用可能に
本改正により、これまで利用できなかった
- 日本で急速に普及しているクラウド技術を用いた事業者署名型の電子署名
- 公的個人認証(マイナンバー)に基づく当事者署名型の電子署名
であっても、電子署名法2条1項の要件さえ満たしていれば、地方自治体との契約に利用できる こととなります。
2020年から始まった行政手続きの「脱ハンコ」「脱押印」プロジェクトも、だんだんと佳境に入ってきました。
(橋詰)
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