法務がつくる事業と商慣習—第1回法務・知財EXPO東京レポート
2020年9月16日から18日まで幕張メッセで開催される第1回法務・知財EXPO東京、その特別講演の様子を中心にレポートします。
想定以上に客足が戻ってきた法務・知財EXPO
新型コロナウイルス感染症の拡大により延期となっていた法務・知財EXPO東京でしたが、ようやく開催にこぎつけることができ、弊社も出展をさせていただく運びとなりました。
今回に関しては情勢に鑑みご来場者数については懸念もありましたが、2日目の9月17日には 昨年11月の大阪EXPOなみの盛況感が復活。
昨年までは「リーガルテックとやらを一目見てみよう」という物見遊山の方も少なからずいらっしゃったのに対して、どういった点で相手方の受け入れやすさに差がつくのかをチェックしたいという視点や、クラウドサインの転送機能等特定の機能について疑問を解消したいといった目的意識を持ってご来場されているお客様が多くいらっしゃいました。
事業創造型法務への脱皮に向けてのアクションプランを語る特別講演
2日目の正午に行われた特別講演「リーガルデザインのはじめ方—規制にとらわれない事業創造型法務とは」には、TMI総合法律事務所パートナー/TMIプライバシー&セキュリティコンサルティング代表取締役の大井哲也先生をモデレーターに、経済産業省の外山望様、シティライツ法律事務所の水野祐先生、弊社取締役の橘が登壇 しました。
リーガルテックが登場し、また法務部門の役割に問題提起を試みた経産省「令和報告書」が公表されて以降、法務系の有識者による講演の多くで「リーガルテックを活用し、生まれた余剰時間で法務の職域を広げていこう」というメッセージが聞かれるようになりました。本講演では、そうした「心構え」の話から一歩踏み込んで、法務が事業創造に貢献するために具体的にどのような「手段」が取りうるかがディスカッションされました。
経産省外山様からは、企業が利用できる規制打破のための手段の全体像について説明があった後、グレーゾーン解消制度を活用し事業創造に貢献した具体的事例 として電動自転車の事例や特許調査システムの事例を、そして弊社橘からは自身が弁護士時代に携わったオンラインプログラミングスクールの事例の事例を紹介。
また、大井先生と水野先生からは、本来拾えるはずの「ビジネスの種」が埋もれてしまう原因となっている事業部と法務部との間に横たわるギャップと、それを解消する Dev Legal Opsやリーガルデザインのアプローチ について、それぞれ提言がなされました。
法務の覚悟と行動が商慣習を変え未来をつくる
講演の後半では、弊社橘より、2018年のグレーゾーン解消制度・2020年の電子署名法に関する政策提言に代表されるクラウドサインの一連の活動の中で感じていた、「止めるべきときは根拠と覚悟をもってしっかりと事業部を止めるガーディアン」としての法務機能の重要性を強調。
その上で、この9月にようやく法解釈のグレーゾーンに決着がついた電子署名法を例に挙げ、「これで電子署名についてはメリットもリスクもクリアになった。電子署名を自社に取り入れて新しい商慣習をつくる側になるのか、それとも止める側に回るのか。法務のみなさんの覚悟と行動が未来をつくる」とのメッセージで、講演を締めくくりました。
経産省が「令和報告書」で国際競争力の源泉として期待を寄せるほど注目されるようになった法務や知財部門の役割定義が、こうしたイベントでの提言や問題提起により研ぎ澄まされ、より前向きな力へと変わりつつあります。
(橋詰)
機能や料金体系がわかる
資料ダウンロード(無料)詳しいプラン説明はこちら
今すぐ相談