日経産業新聞フォーラム「リーガルテック最前線」レポート
SMBCホールに400名弱を集めて開催された、日経産業新聞フォーラム「リーガルテック最前線」。法務のデジタルトランスフォーメーションは、いまや経営者層からも大きな課題として認識されています。
法務のDX化の最大の鍵は「ハンコとの決別」
2019年11月19日、日本経済新聞主催で開かれた「日経産業新聞フォーラム」。今回は 法務のデジタルトランスフォーメーション(DX)をテーマ に、日本綜合研究所の名誉理事長 高橋進氏、経済産業省競争環境整備室長の枡口豊氏をゲストに迎え、経営者層400名弱を集めて開催されました。
日本のなかでも特に遅れが目立つ法務部門のDX。この変革の鍵を握るのはもちろん個々の企業の法務部門であり、法務部員ですが、それをテクノロジー面から推進するリーガルテック企業を代表して、
- クラウドサイン
- GVA-TECH
- Hubble
の三社がプレゼンテーションを行い、トップバッターを弊社クラウドサイン橘大地が務めさせていただきました。
DXが進まない最大の理由として、いまだに紙とハンコで契約書を締結する企業が多い点は、よく語られるところです。しかし、経営者層向けのプレゼンテーションとして特に今回橘が指摘したのは、「角印」「社判」と呼ばれる現場に押印権限が移譲されたハンコの存在 です。
こうした現場が押せるハンコがあることで、法務部門を通らずに押印され大量に発行される申込書・契約書・請求書が発生し、ひいては法務部門にデータが集まらなくなる原因となっていること、そうした データが法務部門に集まらなければ、経営者の真の参謀とはなりえない ことを力説。
単なる「契約書の電子化」ではなく、現場の店舗でお客様と交わすすべての法的文書のデジタル化とそのデータの法務部門への集約を目指すべきとして、クラウドサイン・クラウドサインNOWによって経営課題を解決した事例を述べました。
契約書レビューAIには誤解が蔓延している
つづいて、AI-CONを開発するGVA TECH代表の山本俊先生がご登壇。
2018〜2019年にかけてリーガルテックの話題の中心となった契約書レビューAI。しかし、現状は 契約書業務へのAIの活用・適用について、正しい理解がなされていない と語る山本先生。
契約書の レビューの「基準」を決めることは人間にしかできず、そこに時間を割くことが正しいDXに向けた第一歩 であるとして、ベータ版として提供するAI-CON Proにおいて、米国の法務で「PlayBook」とも呼ばれる「条項基準書」をどう作成・適用するかにつき、プレゼンテーションがありました。
DXの前にやれるはずのことにも手をつけていない法務部門の現状
プレゼンテーションのラストは、Hubbleでチーフリーガルオフィサーを務める酒井智也先生。
エンジニアやデザイナーといった他職種でも、メールにファイルを添付して他者とデータを共有する時代がありました。しかし、彼らは法務職と違い、いまやGitHub・Figmaといったデジタルコラボレーションツールを活用するのが当たり前になっています。
これに対し、法務職だけがメールで添付ファイルを送りつけ合う旧態依然としたコミュニケーションスタイルから脱却できていない 現状を指摘。法務担当者が100%利用しているWordはそのままに、導入範囲や費用負担を小さな規模から始められるHubbleにより、いますぐにできるコラボレーションのプロセス改善からDXに取り組むべきと力説しました。
この3社のプレゼンテーションの後、DXを進める主体となるべき法務人材の課題について、同日経済産業省から発表があった「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書」の概要が枡口豊氏から語られ、会は閉幕しました。
なお、枡口様による「在り方研究会報告書」の解説については、弊社の企業法務専門メディア「BUSINESS LAWYERS」が主催し11月29日に開催するイベント 「Legal Innovation Conference ~リーガルテックの現在地~」にて詳しくお話しただける予定 です。こちらにもぜひご来場ください。
→ BUSINESS LAWYERS主催 Legal Innovation Conference ~リーガルテックの現在地~ お申込みページ
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