利用規約のサイレントな変更をさくっとチェックするならdifff(デュフフ)


著名なウェブサービスの利用規約が変更されるたびに目を皿にして変更点を探していた方も、このツールを使えば一瞬で漏れのないチェックができます。

STAP細胞事件で話題になったテキスト差分比較ツールを法務チェックに応用

いまやあらゆるサービスにつきものの利用規約やプライバシーポリシー。その文言解釈が争われる事件やトラブルも後を絶ちません。

今回は、そんな 利用規約を企業がこっそり変更した際、どこがどう変わったのかの差分チェックに役立つツール をご紹介します。その名は「difff(デュフフ)」。

https://youtu.be/JT2KljhfggQ 2019年8月1日最終アクセス
https://youtu.be/JT2KljhfggQ 2019年8月1日最終アクセス

使い方は非常にかんたんで、比較したい2つのテキストデータをブラウザ上に貼り付けて「比較」ボタンを押すだけで、サクッと綺麗に差分を表示 してくれる、というもの。

2014年に発生した「STAP細胞」問題の際、発明者とされた人物の博士論文が米国立衛生研究所のWebサイトに掲示されているものと酷似しているのをあからさまにし、有名になったツール。クラウドサインで一緒に仕事をしているディレクターのゆぎさんから教えてもらいました。

このdifff、もともとは研究者の論文やソースコードの差分をチェックするツールとして使われていたツールなのですが、ウェブサービスの利用規約のような法律文書でWordファイルにはなっていないようなものについて、更新履歴等をチェックする際にも非常に便利なのです。

瞬時に差分をマーキングし段落も揃えて左右対照表示

たとえば、Googleの利用規約アーカイブから、2017年10月25日versionと2013年11月11日versionの2つをこの「difff」で比較してみましょう。

Google利用規約の2013年11月11日versionと2017年10月25日versionを比較
Google利用規約の2013年11月11日versionと2017年10月25日versionを比較

このように、修正・追加された条文・文言がカラーでマーキングされ、左右に差分を並べて見やすく表示 してくれます。左右の段落がずれないように自動的に行を合わせてくれる のも、非常に親切な設計です。

比較のために貼り付けたデータは、サーバ上に一切残らない設計になっています。それでも不安であれば、秘密文書を自社内サーバー上でセキュアに比較できるようGitHubにソースコードも公開されています。

これまで本メディアでは、著名な利用規約が変更されるたびにその新旧対照表をGoogleスプレッドシートで手作りして公開してきましたが、このdifffを使えばそうした作業の手間もなく一瞬で差分が確認でき、一定期間URLで公開することが可能です。

自社の利用規約がどのくらいパクられているかチェックしてみた

試しに、これを使って最近雨後のタケノコのように誕生している 同業他社の利用規約と、クラウドサインの利用規約とを比較 してみました。

すると案の定、利用規約の構成や条文が非常に似通ったものがちらほらと見つかる もので…。

他社製クラウド型電子契約サービス利用規約が左、クラウドサイン利用規約が右
同業他社の利用規約が左、クラウドサイン利用規約が右

条文を部分部分カットした上で、「お客さま」を「ユーザー」と言い換えたり、語尾を「です・ます調」から「だ・である調」に変えてたりはしているものの、禁止事項の並び順やそこに書かれている要素に一致するところは多く、当社の利用規約をベースに作成されたんだろうなあということが伝わってきます。

逆に真似をされなかった部分から学ぶべきこともありそうなので、今後は同サービス利用規約の改訂の行く末をウォッチして、参考にさせていただこうと思っています。

(橋詰)

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