【レポート】匠総合法律事務所 秋野卓生弁護士と「建設業のための電子契約実務セミナー」を開催
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建設・建築分野に関する法的紛争解決の第一人者である匠総合法律事務所 代表社員弁護士の秋野卓生先生を講師にお迎えし、「建設業法の実務対応 電子契約化への法的アプローチ」と題するセミナーを開催。その概要をレポートします。
目次
建設・建築請負契約に関する紛争を知り尽くした弁護士による電子契約実務セミナー
2019年7月3日に、110名超もの建設・建築業に携わる企業にお集まりいただき、「建設業法の実務対応 電子契約化への法的アプローチ」と題するセミナーを開催いたしました。
講師をご担当くださいましたのは、建設業法の実務に造詣の深い、匠総合法律事務所の代表社員弁護士 秋野卓生先生です。
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弁護士法人として、東京・大阪・名古屋・仙台・福岡と5つの拠点を展開され、日本の建設・建築紛争に関してはトップクラスの取扱い件数を誇る 匠総合法律事務所。
その幅広い経験に裏打ちされた、他では聞けないような建設業法の実務について、非常にわかりやすい語り口でテンポよくお話をいただくことができました。
クラウドサインのグレーゾーン解消制度回答が建設業界に与えたインパクト
今回のセミナーでは、「追加変更工事や営繕工事など、紙と印鑑による契約運用では現場だけでなく顧客にとっても負担が大きい契約書締結業務を、電子契約によってどのように適法に合理化していくか」をテーマに、具体的な解決方法とそこで知っておくべき法律について解説を頂戴しました。
その先生のご講義の中でもご注目をしていただいたのが、私たち クラウドサインが2018年1月に取得した「グレーゾーン解消制度」での経済産業省・国土交通省回答 です。

当日は、クラウドサインから世耕大臣・石井大臣の印影付き回答文書(上図)のコピーも配布したうえで、
- (グレーゾーン解消制度回答が出るまでは困難と思われていた)建設業法19条3項に則した契約クラウド化の適法解釈
- 電子契約において印紙税が不要となる根拠
- 認定タイムスタンプと電子帳簿保存法対応
についても解説(関連記事:グレーゾーン解消制度を活用して、クラウドサインによる契約の適法性を確認)。
実はこれらの要件を満たしていないクラウド契約サービスも少なくない中、秋野先生からは「弁護士ドットコムは非常にクレバーなアイデアで、この問題の解決につながる大きなイノベーションを起こしてくれたと思う」と、うれしいコメントもいただきました。
iPadを使った「手書きサイン」は建設業法19条1項の署名に該当するか
さらに秋野先生には、電子化の基準を規定した建設業法19条3項を用いるのではなく、あえて 建設・建築請負契約の原則論を定めている19条1項の条文から、ダブレット上での電子的な「手書きサイン」による電子契約を合法とする解釈 について、ご披露をいただきました。

この解釈が成り立つとするならば、クラウドサインが今秋にリリースを予定している、iPadを用いた手書きサインによる契約締結&データ入力支援サービス「クラウドサインNow」の価値もぐっと高まる ことになります。

秋野先生による建設業法の新しい解釈については、10月ごろに出版を予定されている新著でも、詳しく解説されるとのこと。
先生の御著書の出版を首を長くしてお待ちしつつ、クラウドサインも、タブレットによる新しい対面型電子契約のリーガルデザインを追求していきます。
(橋詰)