【レポート】「SaaS規約ナイト」で明らかになったSaaS時代到来がもたらす利用規約の大変化
初のSaaS法務イベント「SaaS規約ナイト」の様子をレポート。SaaS事業者とその顧客にとって、利用規約の存在意義とは何か?ウェブサービス時代との違いや変化を明らかにしました。
NewsPicks RoppongiにSaaS法務のプロが集結
2019年6月27日、ユーザーベース本社のお膝元にあるイベントスペース「NewsPicks Roppongi」にて、ユーザベース&クラウドサイン共催イベント「SaaS規約ナイト」を開催しました。ご参加くださいました80名超のみなさまに、改めて御礼申し上げます。
今回、第一線でSaaSを提供する企業、そしてその中で法務という重責を担う3人の方々 に、ご登壇をいただきました。お話しいただきにくい難しいテーマであったにもかかわらず、快くご協力くださったことに感謝いたします。
オフレコの部分も多くあったため、詳細な書き起こしは本メディアではいたしませんが、当日の様子はtwitterのハッシュタグ #saaskiyaku で追いかけていただくことができます。
Sli.doを使ったインタラクティブなパネルディスカッション
後半のパネルディスカッションパートからは、いまの日本においてSaaS法務と言えばこの方を置いて他にはいらっしゃらないであろう、シティライツ法律事務所の伊藤先生も参加。
SaaS法務の中で最近気になるテーマである 「料金改定」に関し、改正民法定型約款規制の盲点、そしてSaaS業界のトレンドを確認し、どのように戦略的にこれに取り組むべきか を事業者目線から意見交換しました。
そしてこのテーマ以外にも、イベント向けリアルタイムQ&Aボードサービス「Sli.do」を使いながら、インタラクティブなパネルディスカッションにもチャレンジ。
ご参加者のITリテラシーの高さにも助けられ、たくさんのご質問をいただけて、短い時間の中でさまざまな日頃の疑問を消化できたのではないかと思います。どのような質問がでたのかも、上記リンクからご覧いただくことができます。
もはや「事業者が身を守るための規約」の時代は終わった
さて、ご登壇者のみなさんのメッセージを踏まえ、このイベントで明らかになったことを私なりに一言でまとめれば、
これまでのウェブサービスの利用規約は、「事業者が不特定多数のユーザーから身を守る」意味合いが強かったのに対し、SaaS時代の利用規約は、「事業者が規約によって特定多数の顧客と対話をし、納得と共感を引き出す」ためのものへと、大きく変わりつつある
ということだったと捉えています。
会場とのQ&Aの中で、「あらためてSaaSって何ですか?クラウド上で動いて毎月お金を払って使うソフトウェアなんて、10年も前からありましたよね?」という趣旨のご質問がありました。これについては、お金の払い方が月額や定額になることが本質なのではなく、長きに渡る信頼関係構築を前提とした「サービスの提供」であることが本質です。
サービスですから、「スペック表どおりのソフトウェア性能が、いつでも同じように発揮される」では、満足はしてもらえません。お客様との対話を通じてお客様が求めることを理解し、次の機会にご利用いただいた際にはちゃんと「前とは違う気の利いた何か」が新しく追加され提供されている。一流ホテルのようなそんなちょっとした感動体験が求められ、喜ばれ、お互いのコミットが深まっていくのがSaaSです。
事業者としてこうしたサービスを提供しようというときに、「当社はあらゆる責任を負いません。その理由も述べません」というスタンスの利用規約が掲げられていたら、興ざめがしてしまうことでしょう。
不特定多数と乱暴に片付けるのではなく、お客様ひとりひとりの顔を思い浮かべ、その方々に話し掛けるように言葉を紡ぐ。そうした言葉でお客様から納得と共感を引き出す ことが、SaaS規約には求められている。
そんな思いが確信へと深まったイベントでした。
(橋詰)
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