「ぼくのかんがえたさいきょうの契約書ワークフローシステム」が失敗する理由とその解決策


管理部門の担当者が夢見がちな「ぼくのかんがえたさいきょうの契約書ワークフローシステム」が決して成功しないのはなぜか。失敗しないためのクラウドサインからの提案とは。

結局「Excel一覧表」に先祖返りする契約ワークフロー管理

事業部門と契約書の内容・文言を調整し、必要な稟議を回し、押印し、ファイル保管する。この一連のワークフローをシステムで一元化できたらいいのに…。契約書にたずさわる法務・経理・総務などの管理部門の担当者であれば、一度は夢見たことがあるはずです。

ワークフローは企業・組織毎に異なる以上、すべての企業にフィットする万能なシステムはつくり得ません。そのため、管理部門の担当者が理想とする「契約書ワークフローシステム」を実現するためには、SIerにフロムスクラッチで、または既成の製品をカスタマイズさせてそれを構築し、運用を維持する必要がでてきます。

たとえば、企業法務の専門誌である「ビジネスロー・ジャーナル」2013年6月号では、とある生活日用品メーカーのワークフローシステム開発の事例が紹介されています。

「ビジネスロー・ジャーナル」2013年6月号 P29
「ビジネスロー・ジャーナル」2013年6月号 P29

システムの維持には相応のコストや手間(バージョンアップに伴う各種変更手続など)がかかりますし、運営にあたっての作業もそれなりのボリュームがあります。上述の入力作業のほか、例えば、社内の組織や担当者が変わった際には、その情報を随時アップデートしなければなりませんしね。システム導入の前と後で法務グループの業務量が大きく減少していることはないというのが正直なところですが、質は格段に上がっています。とりわけ、法務グループのナレッジ共有、平準化に役立っているのは間違いありません。(P31)

長年法務業界に携わっていると、こうした契約書ワークフローシステムの導入事例を見聞きすることも多いのですが、そのほとんどが数年で使われなくなり、Microsoft Excelでの一覧表管理に先祖返りするのがお約束のパターン です。

管理部門主導の契約書ワークフローシステムの導入が常に失敗に終わる理由

企業における契約書ワークフローシステムの導入・運用が失敗に終わりがちなのは、いったいどうしてなのでしょうか?

その根本的原因は、管理部門の都合で押し付けられる事務作業に、事業部門がお付き合いをするモチベーションやメリットを感じられないから です。さきほどの引用図とコメントに、まさにその問題点が浮き彫りになっています。

図の左側、依頼者=管理部門にとってはお客様である事業部門が、管理部門の都合で作られたシステムの入力者として作業を強いられる。それに対応するモチベーションは、「法務部門に契約書を見てもらうためのルールだから、仕方なく入力する」というものでしかありません。契約書業務のワークフローの起点は、常に「取引先」であり「事業部門」であるのにもかかわらず、システム化の恩恵にあずかれるのは、交通整理を自部門に最適化し、ナレッジを貯め込もうとしている管理部門だけ なのです。

もちろん、全社を挙げて契約業務を徹底管理することで、企業としての情報管理やコンプライアンス態勢が向上する効果はあるかもしれません。しかし、管理部門がシステム化によって得られた効果や成果をフィードバックし、それが事業の価値向上にまで結びついたという事例は、寡聞にして知りません。そうした活動で恩返しができなければ、これに巻き込まれる事業部門がメリットを感じることはないでしょう。

こうして、管理部門の担当者が夢を見、予算をかけて導入した「ぼくのかんがえたさいきょうの契約書ワークフローシステム」は、Windows OSやソフトウェア更新タイミングをきっかけに、数年内に静かに息を引き取るのが常となっています。

Hubble連携で事業部門をドライブするワークフローを実現

では、どうすれば事業部門に負担をかけず、しかし管理部門として管理すべき情報を集約できるのでしょうか?

クラウドサインが提案する解決策の一つが、今回リリースしたHubble連携による「Wordファイル基点の契約書ワークフロー管理」です。

事業部門も管理部門も、ほぼ100%がWordを使って契約書を作成しています。発生する手間は、いつものローカルCドライブ・社内サーバーからHubbleサーバーにWordファイルの保存先を変えるひと手間だけ

こうしてHubbleに契約書Wordファイルを置けば、あとはクリックするだけでユーザーのローカルにあるWordアプリ上で開き、いつもどおりにWordの機能をフルに使って編集ができます。編集が終わればWordの保存ボタンを押せば、自動でクラウド上のファイルを更新。

さらに、修正履歴とその趣旨について事業部門と管理部門がおたがいに交わしたコメントのやりとりを、ファイルのバージョンごとに紐づけて残すことができます。

そしてさらにこの2月、そのHubbleで作成したWordの契約書を、ボタンひとつで取引先に「クラウドサイン」できるスマートな連携機能が実装されました。

交渉・調整のうえ作成したWordファイルはHubble上に、そして電子署名と認定タイムスタンプが押された調印済みファイルはクラウドサイン上に、それぞれ一元管理されます。

Hubbleとクラウドサインのファイル連携も、アイコンをクリックするだけでほとんど意識することなくシームレスにリンク。Slackを使っている企業であれば、進捗ステータスもタイムリーにSlack経由通知できます。HubbleもクラウドサインもSaaSなので、OSやソフトウェアの更新とももちろん無縁です。

事業部門の活動を阻害せず、もっとドライブするための契約書ワークフローシステムとはどういうものであるべきか。今回のHubble連携にとどまらず、それを第一に考えたサービスデザインを続けていきたいと思います。

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画像:Rawpixel / PIXTA(ピクスタ)

(橋詰)

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