コインチェック利用規約の改訂と利用規約における全部免責条項の未来
コインチェック社が利用規約の改訂をアナウンスしました。2月の騒動を振り返りながら、BtoCサービスの利用規約における全部免責条項の未来について、考えてみたいと思います。
コインチェック利用規約に消費者契約法対策が反映
2月のコインチェック事件発生後、行政指導を受けながらマネックスグループに買収されるなど大きな資本の変更があり、その後Zaif事件なども発生して慌ただしさがまだ続いている仮想通貨業界。
事件から約8ヶ月経過した本日、コインチェックが、丁寧な新旧対照表とともに利用規約改訂のお知らせをリリース しました。
過去このメディアの記事(コインチェックの利用規約をチェックしたら、通常あるはずのアレがなかった)でも指摘していた、消費者契約法対策の文言が漏れていた点については、第18条11項として追加されることとなりました。
「1ヶ月分の手数料」が損害賠償額の上限として適性水準なのかについてはわかりませんが、文言としてはオーソドックスな規定となっています。
「一切の責任を負わない」文言の処理はどうなった?
それよりも興味を引いたのが、もともとあった 「一切の責任を負わない」としていた全部免責条項の処理についてです。
コインチェック社は、この 全部免責条項から「一切の」の三文字だけを【削除】し、「責任を負わない」の文言を残すという選択 をしました。
果たして、「一切の」をとれば消費者契約法第8条による無効を免れるのか?一見するとやや中途半端な対応にも見えますが、もしこの「責任を追わない」が無効になっても、今回追加した第19条11項により、1ヶ月分手数料の賠償上限がかかるので問題ない、という判断なのだろうと推測されます。
BtoC利用規約における全部免責条項の未来
実は、現在改訂作業中の『利用規約の作り方』の利用規約ひな形についても、もともとあった「一切の責任を追わない」の文言をどう処理するかについて議論をしているところなのですが、BtoCがメインのサービスにおいては、この「一切の責任を負わない」の文言については、すべて削除し設置しない選択が適切なのではないか、と考え、ひな形からも削除をする予定です。
その理由としては、コインチェック社の第19条11項のような消費者契約法対策の文言を置くことで見かけ上有効な脅し条項としても、「一切の責任を負わない」を含む条項自体が無効になることには変わりがなく、消費者団体等からも問題視され削除を要求される可能性がある以上、そうした不安定な利用規約をひな形として提案することに後ろめたさを感じるためです。
なお、条項によっては適法な範囲であれば、事業者ではなく「ユーザーが自己責任を負う」文言へと修正をする余地はあるものと考えており、そうした新たな提案も交えた利用規約のひな形をご提案できればと考えています。
(橋詰)
機能や料金体系がわかる
資料ダウンロード(無料)詳しいプラン説明はこちら
今すぐ相談