私のサイン シティライツ法律事務所 弁護士 伊藤雅浩
あのシティライツに元内田・鮫島の伊藤先生が?—企業法務界の大型移籍のニュースを耳にし、移転したばかりの新事務所に取材に伺いました。
ドリームチーム結成のきっかけは2年前のサシ飲み
—事務所引っ越し作業中のお忙しい中、申し訳ありません。このメディアで「私のサイン」のコーナーをはじめようと思った矢先に、企業法務界の著名弁護士の大型移籍のうわさを耳にして、飛んできてしまいました。シティライツ法律事務所の水野祐先生・平林健吾先生と元内田・鮫島法律事務所の伊藤先生がご一緒されるとは、すごいドリームチームが生まれたなと、びっくりしてます。
橋詰さんぐらいかと思いますが、そう言っていただけるとうれしいですね。光栄です。
—単刀直入に、伊藤先生を知る方みなさんが知りたいであろうことからお伺いしていきたいと思います。まず第一に、今回の移籍は先生から申し出られたんでしょうか、それとも水野先生・平林先生から誘われたんでしょうか。
それに関しては、最終的には私から、ということになるかもしれません。
もともと、Arts&LawやCreative Commonsの活動などを拝見して、祐さんの活躍には注目をしていました。そういうこともあって、2年前だったか、プライベートに集まってやっていた勉強会の帰り道に、二人で飲んだんですよ。どちらからともなく意気投合して、祐さんからは「一緒にやりませんか」なんて声をかけてもらいました。その時は私の方もまだ前の事務所でやるべきことが山積みという状況だったんで、YESのお返事はしなかったんです。
今回、独立をしようと、前の事務所のみなさんにはそういったお話をして了解をいただいて、さあ自分のやりたいことを思う存分やれるぞという状況になったときに、あらためて祐さんに会いまして。8月でしたか。「飲もうよ、話がある」と連れ出して、「あの時の話だけどさ、一緒にやりたいね」とオファーしました。
そういえば、会うまでは用件を聞いてこなかったんですが、祐さんからは会うなり「何の話かなと思ったんですが・・・、女性トラブルか、事務所のトラブルか」って言われて、自分はどんだけ信用ないんだよって思いましたが(笑)。
そのあと健吾さんともお話をして、正式に決まったという次第です。
—そんなドラマが!ところで、ファーストネームで呼び合っているんですね。
そうそう、それなんですけど、ルールというわけじゃないんですが誰からともなくそうしようという話になりまして。だから祐さん、健吾さん、私は雅さんです(笑)。
—とても新鮮です(笑)。万が一、水野先生や平林先生に断られたら、どうされようと思ってらっしゃいましたか?
それはそれで、独立という考えは先にあったので、迷わず小さい事務所を開いていたと思います。やっぱりシティライツのような、他にない個性のある事務所を作っていたと思います。
いったん身軽になって理想を追いかけてみたい
—さて、今だから申し上げますが、お仕事で伊藤先生とご一緒していて、エスタブリッシュな顧客にもしっかり対応できる大人らしさもありながら、本音や野心をどこかに隠し持っていらっしゃるのではというドキドキ感は漂っていました。何かご不満があったんでしょうか?と聞いてしまうとご回答が難しいかと思いますが、独立の背中を押した思いはなんだったのでしょうか。
それなりの規模の事務所で組織を任される立場となると、お客様から離れる時間は長くなります。不満ということではないですが、こればかりはどうしようもなかったことですね。
いったん身軽になって、自分の理想とする企業法務弁護士像を追いかけてみたい、そういう思いでした。
—さらに失礼を承知で深入りさせてください。若い先生方の事務所に、後からベテランの先生がパートナーとして合流されるというのはなくはないですが、ここまで出自も違う濃いキャラクターを持った方々が一同に会するのは、見ているこちらがハラハラしますね(笑)。言葉を選ばずに言えば、ダンディな大人が単身で、業界に新風を巻き起こしやんちゃなロックをかき鳴らす若手二人に、「君たち、大人のジャズを知らないだろう?」と道場破りのように押し掛けてきた感もあります。実際、水野先生はオタクといっていいほどのロック好きで、伊藤先生はジャズ好きのサックスプレイヤーでいらっしゃいますし。この“協奏”がうまくいかないシナリオもあるかもといった、不安や緊張はありませんか?
いや・・強がりでもないんですが、気楽で、リスクらしいリスクは感じてません。
協奏という点では、まだ祐さんも健吾さんも私が年上ということで遠慮してるな、と思うことはあります。一方で、この新オフィスの準備期間中、事務所のビジョン、ウェブサイトのデザイン、オフィスのあり方なんかをずっと議論してきて、まったく飽きないし、大喜利みたいな楽しい会話が延々と続いてます。
ときには喧嘩もあるんでしょうが、むしろ歓迎です。それを楽しんだらいいと思います。
(と話していると、別室から水野先生が乱入され、しばし談笑)
—シティライツも内田・鮫島も、私はクライアント企業として大変お世話になっていましたが、まったくカラーが違う事務所というイメージがありますよね。クライアントもほとんど重なってないでしょうし。どんなクライアントとお仕事をされたいですか?水野先生や平林先生が専門とされているようなアート・エンタメ・建築といった分野も手を出されるのでしょうか。
カラーはまったく違いますよね。特に私は、情報工学やITコンサル出身というバックグラウンドもあって、大企業の情報システム部門やシステム開発会社がクライアント層では多かったですし。シティライツと重なっていたのはほんの数社でした。
まずは、技術系のベンチャー・スタートアップ企業をお手伝いする割合を増やしたいですね。以前はアソシエイトとの業務分担のことも考慮しなければならず、十分にスタートアップの案件に時間を割けないこともありました。今後は、スタートアップ企業を今以上に直接ハンズオンでサポートしたい、そう思っています。しかも、自分のエンジニアとしての専門性が発揮できるような技術を扱うスタートアップでしょうか。
もちろん、祐さんや健吾さんだからこそのご指名でいらっしゃっているエンターテインメント/アート系のクライアントも、チャンスがあればサポートしてみたいなと思っています。
弁護士はもっと自由かつ多様であれ
—先生が入られて、シティライツが事務所として発信するイメージもまた大きく変わっていくのは間違いないと思いますが、事務所名は変えないという意思決定をされたと聞きました。これもとても興味深いお話です。伊藤先生は、このシティライツという名前にどんな思いをお持ちで、どうしていきたいと思われますか。
実は、祐さんからは、「新しい事務所を作るんだから、名前も変えましょう」という話もあったんですが、私はこの事務所の名前、雰囲気、ブランドが好きでしたので、その必要はないよと言いました。
私はシティライツの名前の背景にあるビートニク文学とかカルチャーとか、そういったところに詳しいわけではありません。けれど、自分に素直で、自然で、柔軟であろう、そして何でもおもしろがって仕事をしようというこの事務所の精神が、とても気に入ってます。
企業法務の弁護士が目指すべきとされるキャリアの典型例・理想像というと、どうしても四大・五大事務所のパートナーがイメージされる、それが世間一般からの見え方だと思います。でもそういうキャリアや働きばかりではない。
弁護士は、もっと自由な発想で活躍の仕方を描ける、多様性を持つべき職業だよねと。シティライツをこれまで以上にそういう事務所にしていきたいですし、僭越ですが、社会人からロースクールに入り法律家になった者として、そういう姿を後輩にも見せられたらいいなと思います。
—後輩といえば、新しいアソシエイトの方も入ってくださるといいですね。
開業初日、本日から求人します。私もそこそこボリュームある仕事を抱えているので。水野・平林・伊藤と働きたい。そう思ってくれる方がいらっしゃれば、ぜひ門をたたいていただきたいです。
—このお三方と仕事できるならという憧れ応募はありそうですが、いざ働くとなると厳しそうですね。
厳しいのは間違いないですけど、面白い仕事ができるのも間違いないですよ。65-67期ぐらいの、骨のある若手弁護士の方がいればぜひ連絡くださいね。
—読者のみなさんにむけてメッセージをお願いします。
水野、平林そして私のパートナー3名を中心に、シティライツ法律事務所を新しい事務所として立ち上げます。事務所のウェブサイトや私の個人ブログでも、所信表明を述べたいと思っています。引き続き担当させていただくクライアントはもちろん、特にこれまでお手伝いできなかったベンチャー・スタートアップとの新しい出会いを楽しみにしています。
—本日はありがとうございました。
(聞き手 橋詰)
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